初っ端から極めてワタクシゴトになりますが、今月のはじめに開発用のデスクトップWindows機のHDD(ハードディスクドライブ)がいきなり絶不調に陥りまして、それからいく日も経たない内に、あれよあれよという間にお亡くなりになるという不幸に見舞われました。
これを機に、よっぽどSSDに換装しようかと思ったのですが、急いでたのとあんまりお金を使いたくなかったのとで、結局余っていたHDDにWindowsをクリーンインストールするところからはじめて、2日ほどかけて環境を再構築したのですが、その時に改めて感じたのが、「もうローカルに環境を作る時代じゃないなー」ということでした。
環境丸ごととは言わないまでも、コードであれドキュメントであれ画像映像音源その他のデータであれ、せめて自分が作ったファイルに関してはクラウド同期を行って、今回のように手持ちの端末のハードディスクがぶっ壊れても失われることがないようにしておきたいものです。
というか、元からある程度はそうしていた訳ですが、これをキッカケにクラウドストレージの使い方を改めて見直そうかなーと思っていたところに、なにやら都合良くGoogle Driveの料金の大幅値下げが発表された次第でありまして。
・Google Drive、激値下げ―1TBが月額49.9ドルからなんと月額9.99ドルに
最初の15GBまで無料なのは従来通りだが、100GBが従来の月額4.99ドルから1.99ドルになった。
もっと驚きなのは、1TBが月額49.99ドルからわずか9.99ドルに値下げされたことだ。
正直なところ、自分で外付けのHDD等を買ってきて自宅で運用するよりも、クラウドの方がよっぽど可用性や信頼性が高いので、今後のストレージはクラウド化が当たり前の方向に進んでいくのではないかなー、と思っています。
ちょうどいい機会なので、主要なクラウドストレージ(オンラインストレージ)を簡単に比較して、無料を含めてうまいこと利用する方法を考えてみましょう。
ここで取り上げている以外のサービスについては、こちらの別記事にいくつか追記しています。びっくりするほど低価格で(というか無料まである)容量無制限のサービスにも触れていますので、そのようなものをお求めの方は、よろしければどうぞ(あまりオススメはしませんが)。
読み込み中です。少々お待ち下さい
まずは料金の比較から
さてさて、まず最初に気になるのは、やっぱりお値段のことですよね。
そこで、簡単な比較表を作ろうかと思ったのですが、困ったことに各サービスとも料金体系がまちまちです(当たり前)。
なので、そこそこ共通している50GB, 100GB, 1TBのプランで表にまとめてみました。それから、分かり難いのでビジネス用のパッケージには言及していません。
※更新しすぎたせいで、非常に見難くて申し訳ありませんが、簡単な推移も残しておきたかったので、どうぞご了承ください。
※スマホ等で表が画面に収まりきらない場合は、表だけ左右にスライドできます。リンク先は、各サービスの料金プランのページになります。
※お知らせ:SugarSyncはいろいろ説明が面倒臭いので、ここでは取り上げません。ビジネス用途で頑張ってください。また、ここであげている以外のサービスについては、こちらの別記事にいくつか追記しています。低価格で容量無制限のサービスにも触れています。
注意点として、いちおう随時更新はしていますが、上の表のベースは 2014/03/19 時点の情報になります。これらのストレージサービスは、無料分の容量増量キャンペーンや料金の改定をしょっちゅう行っているので、その時々における正確な情報は、サービスそれぞれのホームページで都度確認してください。
以下、灰色の枠は記事投稿後の新しい情報です。
Appleについて追記:
AppleがWWDC 2014でiCloud Driveを発表しました(2014/06/03追記)。
ファイルサーバー的な使い方が可能になった上に、料金も5GB無料、20GBが月額0.99ドル(約100円)、200GBが3.99ドル(約400円)になるんですって。
一気に物凄い安くなるのはいいんですが、うーん、これは......以前のAppleならやらなかった気が。もっとシームレスでファイルを意識させない方法を選んだと思うんですけど。アプリ間連携もそうだけど、これやって喜ぶのは、ほぼギークだけだと思うんだけどなぁ。最近のAppleの方針を遠巻きに眺めてると、社内でギーク寄りの人間の声が強くなって、時代に逆行しつつあるように見える。
あ、料金が安くなるのは大歓迎です(笑)
(2014/09/13追記)
iCloud Drive の日本での価格が決定したので表を更新しておきましたが、何故か Apple の価格表記が税別なので、実際は+8% かかります。
→(2014/10/25追記)
あれっ!?いつの間にやら、しれっと税込表記になってる(笑)
ややこしいから、やっぱり税込に変更したんでしょうね。よかったよかった。
2015/09/23 Apple に関して追記:
iCloud ストレージの扱いが、よりオンラインストレージっぽさを増した iOS 9 がリリースされたタイミングで、20GB 100円/月→50GB 130円/月、200GB 400円/月→200GB 400円/月、500GB 1,200円/月→1TBGB 1,300円/月のように値下げされました。
バックアップ容量が大き過ぎたり、写真や映像を大量に保有して iCloud の容量が足りずに困っている人は、そろそろ課金しちゃってもいい価格かも知れないですね。
Microsoftについて追記:
OneDriveにも、値下げの発表がきました(2014/06/25追記)。
無料の容量が15GBに増えた上に、価格も100GBが190円/月(現行価格:799円/月)、200GBが380円/月(同:1,199 円)と大幅に値下げされる予定です。
GoogleかAppleかMicrosoftのどれかで、そろそろ1本化できそうなくらい安くなってきたなー。
追記:(2014/10/29)
OneDrive を利用するなら、1,000円/月そこそこ(まとめ払いの場合)で容量無制限の Office 365 が、圧倒的にお得じゃないでしょうか。というか、フルフル機能の Office まで使えるので、全てのクラウドストレージの中でも、現時点ではダントツにお得だと思います。詳しくは、以下の記事をどうぞ。
2015/11/03 追記
容量無制限は廃止され、無料で利用できる容量も削減されるようです......詳しくは、以下の記事をどうぞ。
Googleについて追記:
Googleが、とうとう容量無制限にしてきちゃいました(2014/06/27追記)。
えー、マジでー。
うわちゃー、こりゃもう勝負あったかなー。将来的には、ここからさらに価格競争とかあるかも知れませんが、当座はGoogle使っとけば安心、みたいにしちゃいたいところでしょうね、Google先生的には。
→と、発表当時は思ったものですが、全然勝負は決まってませんでした。わずか1年で、クラウド周りの状況は物凄い勢いで変わりましたね(2014/12/07)。
※主にビジネス向けのようで、5ユーザー未満のアカウントでは、ユーザーあたり1TBの容量となります。なので、個人でしか使わない場合は、こっちじゃなくて1TBあたり$9.99/月の通常プランが現実的ですかね。物凄い円安になったら乗り換えてもいいかも、というのは冗談ですが、セキュリティと管理面で差があるなら、Google Drive for Workを選択するのはアリかも知れません。
写真と動画は、Google Photos なら無料で容量無制限!(2015/05/30 追記)
写真と動画なら、容量無制限の Google Photos にオマカセ! 的な感じに。もちろん無料です。
Google みたいな半ばインフラじみた巨大サービスにコレをされちゃうと、類似のサービスをひーこら運営していたトコロはたまったものではありませんなー(笑)
Yahoo!ボックスについて追記:
なんか知らないけど、唐突にYahoo!ボックスが格安の容量無制限プランをぶっ込んできました(2014/07/03追記)。
いやいやいや、安すぎるでしょう。どうしたんですか、いきなり。
びっくりして、ちょっと調べたら、追記では収まりきらない感じになってしまったので、別記事にしました。
2015/05/30 追記
現在、容量無制限プランの新規受付を停止しているようです。せっかく記事にしたのに......(笑)
Dropboxについて追記:
とうとう、オンラインストレージの老舗であるDropboxも値下げされました(2014/08/28追記)。
まぁ、100GBぽっちで1200円/月(500GBで5,600円/月)のままじゃ、いまとなってはかなりの割高感が漂ってましたからね。
ちなみに年額だと12,000円(1TB)ということは、実に2ヶ月分に相当する2,400円も割引になりますので、もしProにアップグレードする場合は年間契約しない手はないと思います。
個人的にはサービスとして最も使い易く感じているので、このくらいの価格になってくるとProにしてもいいかなぁ、とか考えちゃいますねー。
Bitcasa について追記:
容量無制限プランが廃止されてしまいました(2014/10/24追記)。
こういうのがあるから、やっぱ御三家のどれかでいっか、ってなっちゃうんですよねー。
クラウドストレージに限定した話ですが、独立系である程度安心して使えそうなのは DropBox くらいかな(個人的な意見です)。
ちなみに、ここでの御三家とは、一般消費者の端末制御をほぼ支配している Apple、Google、Microsoft の3社を指します。適当なこと言ってますけど(笑)
Amazon について追記:
Amazon も、Prime 会員向けに容量無制限のフォトストレージを提供するようです(2014/11/05追記)。
ただ、日本はまだ対象ではないようです。
Cloud Drive とはまた別みたいですし、アレコレありすぎて Amazon のサービスはちょっと分かり辛いですよね。もっとシンプルにすればいいのに。
2015/09/23 Amazon に関して追記:
ちょっと追記が遅くなりましたが、ようやく Amazon Cloud Drive というクラウド上のファイルを一括して扱うことのできるファイラー的なアプリがリリースされたようです。
まぁ、私は使ってないので、これ以上、なにも情報は持ってないです。すみません。
2016/07/21 追記:
Amazon は、Prime 会員向けの容量無制限フォトストレージ以外の有料プランを、Unlimited ストレージに統一したようです。
上にも書きましたが、Amazon のクラウドサービスはごちゃごちゃし過ぎていて分かり難かったので、スッキリして良かったのではないでしょうか。
各サービスの個人的な印象
ほとんど触っていないものも幾つかありますが、各サービスについて個人的な印象をざっと書いてみます。
今回の記事を書いたきっかけ。100GBならひと月200円くらいで運用できるようになったので、Googleのアプリやサービスを良く使う人にとってはファーストチョイスに昇格したのでは。無料で使える容量が大きめなのも嬉しいです。
→とうとう、容量無制限のプランが出てしまいました。
実は、元々かなりリーズナブルだったりします。今回のGoogle Driveの値下げが無かったら、オンラインストレージの容量が足りなくなったら、とりあえずここを利用しようと思ってました。だって、50GBで2,000円/年は、かなり手を出し易い価格設定だと思いませんか。
次の記事でも取り上げる予定ですが、最近のMicrosoftはクラウドにすごく力を入れていて、なおかつそれが昔のように見当外れではなく、軒並みツボをついていて良い感じです。
→上にも追記しましたが、OneDriveにも、値下げの発表がきました。
→さらに改定される予定です。詳しくは、こちらの記事をどうぞ。
上にも書いたように、飛び抜けてお高いです。でも、現状ではファイルサーバー的な使われ方が多いと思われる他のオンラインストレージと一線を画し、一般的なユーザーにとってのiCloudは、特に意識しないところでのデバイスのバックアップとデータのシームレスな同期が主たる用途なので、同列には語れない気もします(ユーザーの目に触れる形でファイルをやり取りしているフォトストリームは、iCloudの容量に含まれませんし、よく考えられています)。
Apple製の端末でiCloudを利用していて容量が足りなくなったら、否応無く有料プランに加入せざるを得ないのも、少々特殊と言えるのではないでしょうか。後述しますが、個人的には今後このタイプが主流になるんじゃないかと思ってます。
→上でも触れたように、iCloud Drive がリリースされて、Google や Microsoft と価格面でも対抗できるようになりました。好みは分かれそうですが、アプリ毎にフォルダが用意されるのは分かり易いですね。
iCloudを除く他のストレージサービスと異なり、本家のモバイルアプリが写真や動画しか扱えないので、若干使い難いです(デスクトップ版やWeb版では、写真・動画以外も扱えます。音楽に関してはAmazon Cloud Playerと、使い分けが面倒で分かり難いのもネック)。というか、コンセプト的にはiCloudに近いかも。
→ファイラー的なアプリである Amazon Cloud Drive がリリースされました。
ずっと昔からオンラインストレージの代名詞的な存在だけあって、サービスとしては非常にこなれていて、個人的には最も使い易いです。
無料で使える容量が2GBと、他のサービスと比べて見劣りするように感じられるかも知れませんが、スマホアプリで写真のアップロードを有効にしたり、他のアプリと連携したりすると、特典として利用できる容量が増えていくので、なんだかんだで5GBくらいは無料で使えます。まぁ、そのような特典は他のサービスでも行っているので、無料で使える容量が相対的に少ないことに変わりはないんですけど(笑)
ちょっと前に、新しいiOSアプリをインストールしたら50GBの容量を無料でもらえたので使おうとしたんですが、デスクトップアプリがWindows版もMac版も負荷が他より高かったので、使うの止めちゃいました。使える容量が多い分、他のサービスよりも同期しようとしたファイル数が多くなってしまったので、単純にリソースを喰っていただけなのかも知れないんですが、私の環境では一旦同期が全て完了した後でも、OneDriveやGoogle Drive、Dropboxなどと比べて無視できないほど負荷が高かったので......でも、やっぱり50GBは魅力的ですし、その内また使い始めると思います。
Yahoo ボックスと Bitcasa は、サービス自体が終了しちゃいましたね(2017/02 追記)。
最適な料金とは
さて、上で各サービスの料金を表にしましたが、ユーザーが感じるクラウドストレージの適正価格というのは、果たしてお幾らほどでしょうか。
各サービスを相対的に比較したり、サービス側から見た場合のコストから導き出される適正価格ではなく、あくまでユーザーが「これなら払ってもいいな」と感じるくらいの料金です。
ユーザーとしては、ストレージがクラウドにあろうがローカルにあろうが関係なく、どちらでも同じように扱えるのが理想であろうと思われます。
そして、その考え方を価格にも押し広げてみます。つまり、「外付けのHDD(ハードディスク)を購入するのと同じくらいの費用感であれば、データのクラウド化に積極的な興味を持たない一般ユーザー層でも、有料プランに加入する可能性がある」と仮定してみるのです。
冒頭にも書いたように、自宅のハードディスクなんかよりもオンラインストレージの方が可用性・信頼性・保守性、どれをとっても優れています。すなわち、いつでもどこからでも使えて、壊れた時のことを自分で考えなくてもよくて、データの移し替え作業も発生せず、定期的に買い替えなくてもいつのまにやら性能が向上する可能性すら存在し、さらに複数端末で簡単に共有・同期が行えるのですから、これは大したメリットです。同等の環境を個人で構築することはほぼ不可能なほどのメリットなのですが、ごく一般的なユーザー目線で見た場合、果たしてそのメリットは価格分を相殺するほどにデメリットを上回っていると感じられるでしょうか。
ローカルストレージの単純な置き換えで考えてしまうと、ネットワークが仮令ギガビット環境であったとしても、現在主流であるUSB3.0接続の外付けHDDを直接端末に繋げるよりは、転送速度は遅くなってしまいます。当たり前の話ですが、あくまで「ローカルストレージの代替」として見た場合、これではオンラインストレージそのものが、さほど魅力的に映らないかも知れません。
さらに、2014年3月時点で1万円も出せば2TBの外付けHDDが買えてしまうことを考慮すると、そうした視点のユーザーがオンラインストレージに出せる料金は、1TB辺りでせいぜい5,000円/年くらいが上限ではないでしょうか。
なぜなら、自分で外付けのHDDを購入した場合、よほど運が悪くなければ数年間は使えるので、2TBの外付けHDDを1万円で購入して自宅に置いたと仮定し、短めに見積もって3年しか保たなかったとしても、見かけ上のコストは1TB辺り約1,600円/年程度しかかからないことになるからです(本当は、それに付随するコストが色々と発生する訳なのですが、個人的な用途なので購入費用以外のコストは意識し辛いのです)。
このように考えてしまうと、1TB辺り5,000円/年でも割高に感じる人がいておかしくありません。
クラウド環境への移行に特に積極的とはいえない一般的なユーザーが、ローカルストレージの代替としてオンラインストレージの有料プランを利用するには、外付けHDDと価格競争が可能な1TB辺り2,000円/年くらいまで料金が下がらないと無理じゃないかなーと、個人的には考えます。この先数年で、そのくらいまで料金が下がってもおかしくないかな、とも思います。
いや、ちょっと違うか。ネットワーク越しに巨大ファイルを同期するのは、あまり現実的ではない上にニーズも限定的だと思われます(あるとしたら、もう一生見ないかも知れないけど、いちおうとっておきたい動画や写真を、とりあえず保存しておく貸倉庫的な容量無制限サービスかなぁ)。
日常的によく利用するファイルの同期に関しては、多くの場合で容量は1TBも必要無く、通常は50~300GB程度あれば十分に実用的ではないかと。動画編集でもしていれば話は別ですが、それは本当に別の話ですし。
つまり、重要なのは容量よりも低価格帯の料金プランであって、200GBで2,000円/年なんてお値打ち価格でよろしいんじゃないでしょうか。このくらいのプランなら、Google Driveの値下げを受けて、この後すぐにどこかが出してきそうですよね。我ながら無責任なことを言ってますけれども(笑)
年間5,000円前後で容量無制限のサービスもいくつか出てきた(もしくは前からあった)ので、ここで書いた費用感はあながち無茶ではなくなってきちゃいましたね。
この記事では取り上げていない格安サービス等については、こちらの別記事を参照してください。
(2015/09/24 追記)
ていうか、記事を書いた時は我ながら無茶な希望価格だなぁと思っていたのですが、2015 年のいまとなっては「は? こいつ、何言ってんの?」と鼻で笑われかねないくらい、まるきり普通のお値段になっちゃいましたね。わずか1年あまりで、隔世の感を禁じ得ません。
でもですね
とはいえ、そもそもローカルストレージとの単純な置き換えが、オンラインストレージ本来の役割だとはまったく考えていません(いくつかの例外を除き、そもそも現在主流の利用法だと、クラウドと同じストレージ容量がローカルにも必要となるので置き換えとは呼べませんし。上で述べたのは、あくまでユーザーが許容する費用感はどの程度かという話です)。
ユーザーが能動的にオンラインストレージを利用するようになるのではなく、「なんか知らんけどいつの間にやら使ってた」という形での利用が、今後ますます主流になっていくのではないでしょうか。
それを分かり易く体現しているのがAppleですよね。一般にクラウドが浸透する上で、Appleの果たした役割はとても大きいと思いますが、にも関わらずAppleはユーザーにクラウドを意識させません。Appleの端末を持っているほとんどの人はiCloudを利用している筈ですが、「よーし、クラウドを利用するぞー」みたいに肩肘を張って使い始めた人なんて、あんまり想像できません。なんか気づいたら利用してた、というくらいが大多数の実感じゃないでしょうか。iCloudバックアップにしても、個々のアプリのiCloud連携にしても、ユーザーがいちいち何かを気にする必要がないようにシステム全体が形造られており、ユーザーにそれを意識させないのです。
上で追記したように、iCloudも若干ギーク寄りにサービスの軸を置き直した感がありますが、一般ユーザーには引き続きあんまり意識させない方向でまとめていくんじゃないかと(願望)。
クラウドストレージ全体としても、ユーザーに特に意識させずに洗練されていく方向で変わりはないと思います。
また、最近クラウドに物凄く力を入れているMicrosoftのWindowsも、8.1からOneDriveをシームレスに扱うようになりました。同時に、Officeに代表される自社の強みをクラウド上で展開し、手軽に連携して扱えるように心を砕いています。
Googleも同様に、Chromeを中心としてユーザーになるべく意識させない形でクラウドサービスの提供を押し進めているように感じられます。
今後のオンラインストレージは、その機能だけを切り出した単体のサービスではなく、エコシステムの中にユーザーが意識しない形で自然に組み込まれて発展していくんじゃないかと思います。
料金に関しても、将来的にストレージサービス単体ではなく全体としてかかるようになっていくのだとすると、ちょっとどうなるか読み難いですね(2015/09/23 追記:Microsoft の Office 365 は、現状における代表例と言ってよいと思います。詳しくは、別記事をどうぞ)。
で、どれを選べばいいの?
最後に、結局のところ現時点ではどれを選べばいいの?という話になりますが、まず前提条件としてあげておきたいのが、「サービス自体が2段階認証に対応しているかどうか」ということです。
クラウド上にファイルのコピーを置く訳ですから、セキュリティはとても重要です。ユーザーIDとパスワードが漏れたくらいでアクセスできてしまっては、他人に見られても別に問題が無いようなデータしか扱う気になれません。2段階認証について詳しくは、以前に書いたこちらの記事などを参照してください。
私の把握している限り、現時点(2014/03)で2段階認証に対応しているサービスは、上の表の中ではGoogle Drive、OneDrive、Dropboxです(iCloudは別腹扱いで。AmazonはAWSならMFAが使えるけど、Cloud Driveでは使えませんよね?)。
2015/11/20 追記:
ようやく、Amazon でも 2 段階認証が使えるようになりそうです。ホント、なんでいままで導入してこなかったのか、不思議で仕方ありませんでした。
米 Amazon の話なので、日本ではまだですが、遠からず対応するものと思われます。ホントもう、やっとだよー。
追記:
boxでも2段階認証が使えました。モバイルアプリ等では設定できないと思うので、まずはboxのWebサイトにログインし、右上の歯車アイコンをクリックして「Account Settings」を選択します。次に画面上部の「Security」タブを選択して、「Login verification」チェックをオンにしてください。
ただし、boxで2段階認証を有効にするには、SMS(つまり、一般的に言って使用可能な携帯電話番号)が必要です。
追記:
進化した Apple の iCloud Drive も、データを2段階認証で守ってくれるようになりました。詳しくは、以下の記事などをご覧ください。
で、前段で述べたように、近い将来におけるオンラインストレージの利用法は、ユーザーの手を煩わせることなく洗練されていくと思いますが、いま時点では「実際に自分が作成したファイルの同期・バックアップ」が、主だった用途のひとつと言って構わないと思います。
動画や音楽、電子書籍のように、データサイズは大きいけれども、それを提供しているサービス自体がクラウド機能を有しているデータに関しては、わざわざ自分で同期やバックアップを行う必要は無い訳で、そう考えると対象となるデータというのは、さして多くありません。各オンラインストレージサービスの無料分を上手く使いこなせば、なんとか賄えそうです(メディアファイルの編集や、CD・DVDのバックアップのように巨大なデータは、ここでは対象に考えていません。そのようなデータを大量に保有している場合は、もちろん素直に外付け HDD や NAS 等を利用した方が、断然使い勝手が良いと思います)。
ただ、データサイズの巨大化が進む昨今において、使える容量が5GB前後では心許ないのも事実です。ですから、ここは「どれかひとつ」ではなく、複数のサービスを組み合わせて使うことを考えてみましょう。
例えば、Microsoft の提供する OneDrive は、Office の響きがなんか仕事を連想させるので仕事に関連するデータを割り振り、すぐに同期されていて欲しい即時性が求められるデータに関しては、サービスとしてこなれている Dropbox を使い、頻繁に触りはしないけれども必要な時にすぐに利用できるようにはしておきたいバックアップ的な用途には、他と比べて容量の大きい Google Drive を利用する、といった具合です。
各サービスの特典分まで合わせれば、なんだかんだで合計して 30GB 以上は無料で利用できるので、普通に使う分にはどうにか足りるんじゃないでしょうか。巨大ファイルは同期にすごく時間がかかってしまうので、対象から外すように運用すれば、なおさら十分です。
とはいえ、複数を使い分けるのは面倒ですし、デスクトップにいくつもオンラインストレージ用のプロセスを常駐させると、それなりにリソースを喰われてしまいます(環境によってはかなり負荷がかかることもありますので、導入後に「なんか重くなった」と感じたら、しばらく監視しつつ、同期対象の絞り込みを行うと良いでしょう)。
なので、もしひとつに絞りたい場合は、自分が良く使うサービスから逆算して決めると良いと思います。
ほぼ Windows しか使っていないのであれば OneDrive が最適でしょうし、Google のサービスを良く使うのであれば Google Drive が便利ですよね。
なにはともあれ、「HDD が壊れたから、データが飛んじゃったよー」などという悲劇が自分の身に降りかからないように、日頃からオンラインストレージを賢く利用しようじゃありませんか。
う~ん、取ってつけたような結論。なんか言ってることがとっ散らかって上手くまとまらないので、この辺りでとりあえず終わりまーす(笑)