OneDriveのプラン改悪に関する雑感(無料分が5GBに削減。Office 365の容量無制限は、はじまる前から終わっていた)

 いまから、ちょうど一年前のこと。

 私は、こんな記事を書きました。

 それから、一年が経過し、こんなオチがついた模様。

 要するに、「やっぱ、無制限とか止めるわ」という結果になりました。

 また、無料で使える容量が、何故か大幅に削減されるようです。

 OneDrive Blog の内容を簡単にまとめると、以下のようになります(日本の Office ブログに日本語訳が来ましたので、上で引用しているそちらも併せてご覧ください)。

  • Office 365 ユーザーに対する OneDrive の無制限容量プランを廃止。1 TB に制限する。
  • 100 GB および 200 GB の OneDrive 単体料金プランも新規の受付を終了。2016 年の早い時期に 50 GB で月額 $1.99 のプランを提供予定。
  • 既存/新規の区別無く、全ユーザーに対して無償で使える OneDrive の容量を、15 GB から 5 GB に削減。同時に 15 GB 分のカメラロールボーナスも廃止。この変更は、2016 年の早い時期に適用される。
  • ただし、

  • 以上の変更適用後も、容量超過分のファイルについては、最低でも 12 ヶ月間はアクセス可能(無料ユーザーと Office 365 ユーザーで、扱いが多少異なります。詳しくは FAQ を参照)。
  • Office 365 ユーザーに関しては、不満があれば日割りでの払い戻しあり(英語 Blog にのみ記述あり。日本での扱いがどうなるかは不明)。
  • 新しい 5 GB の制限で影響を受ける無料ユーザーは、1 年間の Office 365 Personal サブスクリプションを無償で申請できる予定(クレジットカード必須。ただし、この件も英語 Blog にのみ記述があり、日本での扱いがどうなるかは不明。日本における MS Office の特殊性については、こちらの記事をどうぞ)
  • 現在、100 GB または 200 GB の OneDrive 単体容量プランに課金しているユーザーは、今回の変更の影響を受けない。
  • その他の特殊なプロモーションで得た容量に関しては、今回の変更の影響を受けない。

 この件について、個人的な感想をつらつらと適当に書き殴っていこうと思います。

 無責任な雑談記事になりますが、よろしければお付き合いください。

2015/12/13 追記:
 申し込み(オプトイン)を行えば、これまでと同じ容量を無料分として利用できるように Microsoft が方針を変えた件については、本文中の半ばほどに追記してあります。

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意味不明

 あのですね、容量無制限を 1 TB に戻すのは、まぁいいと思うんですよ。

 最初から無理があった訳だし、実際は 1 TB もあれば十分だし。

 意味分かんないのは、いや、理解はできるけれども、いまさら何言ってんの? とツッコまずにいられないのが、今回のプラン改悪に踏み切った理由です。

Since we started to roll out unlimited cloud storage to Office 365 consumer subscribers, a small number of users backed up numerous PCs and stored entire movie collections and DVR recordings. In some instances, this exceeded 75 TB per user or 14,000 times the average. Instead of focusing on extreme backup scenarios, we want to remain focused on delivering high-value productivity and collaboration experiences that benefit the majority of OneDrive users.

 簡単に意訳すると、「Office 365 ユーザーが使える容量を無制限にしたらさー、一部の連中がムービーのバックアップとかで、やたらと容量使いやがってさー。そうじゃないんだよ、アホほど大量のバックアップとかじゃなくてさー、大多数のユーザーがより便利に使えるみたいな、高生産性や共同作業なんかに寄与するような、もっと価値のある用途で使って欲しいんだよねー」みたいな感じでしょうか。

 いやいやいや。

 そんなの、最初から分かり切ってたことでしょ。

 容量無制限にしたら、そらアホほどバックアップに使うユーザーも、一定数出てきますよ。

 それはそれで確かに問題でしょうが、携帯キャリアが直近の数日で大量の転送を行ったユーザーに通信制限をかける但しをつけて運用しているように、その少数のユーザーを個別に制限すればいいだけの話で、そもそも理由としてロクに成立していません。

 本気で言ってるなら意味不明ですが、もちろん、Microsoft もハナからそんなことは百も承知だった筈でして。

 にも関わらず、ここまで最初から分かり切ったことを臆面もなく言われてしまうと、実際に理由の一端ではあるにせよ、さすがに建前上の分かり易い弁明に思えちゃうんですよね(件の一部ユーザーは、「あいつらのせいだ」とヘイトを集めて事の本質から目を逸らす為に体よく利用されたスケープゴート的な――とまで言ってしまうと、穿ちすぎでしょうか)。

 実際のところは、モバイルビジネスへ本格的に打って出る前の地ならし的な意味合いもあるんじゃないのかなー、と邪推してみたり(ちなみに、Windows 10 Mobile の提供は、一部を除き 2015/12 以降になるようです。参考記事)。

 だって、上にあげたことだけが理由だとしたら、なにも無料分の容量まで、便乗して削減する必要は無い筈ですからね。

 そう、無制限が 1 TB に戻ったところで、ほとんどのユーザーは影響を受けませんから、それはどちらかと言うと、どうでもいいのです。

 ここで問題視したいのは、どさくさに紛れて、無料分の容量を大幅に削減しようとしている方なのでして。

隣の芝は

 モバイル進出にあたって避けては通れない絶対的なライバルとして君臨している隣の芝こと Apple は、もうずっと無料で使えるクラウドストレージの容量を 5 GB に制限し続けています。

 機種変しながら長年 iPhone を使い続けている人を筆頭に、5 GB じゃ足りないというユーザーが沢山いると思うので、個人的にはそろそろ引き上げてもいいんじゃないのと思うことしきりですが、不平不満はあるにせよ、目も眩むほど大量のモバイルユーザーが、5 GB のクラウドストレージでそれなりに納得して使っている事実が、まずそこに厳然とある訳です。

 対して、プラン改悪前の現状における我らが Microsoft はといえば、問答無用の無料分が 15 GB、さらにモバイル端末等で写真の自動アップロードをオンにすると、ボーナスで 15 GB を景気よく配っていました。

 合わせて、無料分が 30 GB。

 正味な話、30 GB もあれば、普通に使う分には課金するまでもなく十分です。

 それこそ、大容量のメディアファイルをバックアップでもしない限り。

 つまり、Office 365 の方はともかく、OneDrive 単体では課金がほぼ見込めないにも関わらず、ユーザーの増加に比例して、コストはそれなりにかかってしまう訳です。

 Microsoft の目論見通りに、モバイル事業が順調に伸びれば伸びるほど。

 特に新興国で Windows Mobile が将来的に成功を収めると、それまで PC とは縁のなかった層、つまり、Microsoft アカウントを持っていない新規のユーザーが爆発的に増加する可能性もある訳です(あくまで可能性の話です)。

 既に PC 等で Microsoft アカウントを使用している層とは異なり、こちらはこれから増えた分だけ、OneDrive の容量を新規に割り当てなくてはなりません。

 そういった諸々を、株主やら上の方の誰かが問題視したんじゃないですかね。単体ではロクに利益を生み出さない下支えのサービスに、そこまでコストをかけるのは問題だ、みたいに。

 で、のっぴきならなくなる前に、同業他社と同程度までもっと減らせ、みたいなオーダーが下って、今回の改悪と相成ったのでは。

 少なくとも、5 GB という数字に落ち着いた経緯には、iCloud の無料分容量が念頭にあった気がするんですよね。

 まぁ、完全に想像で当てずっぽうなことを書いてますけれども。

 これは、そういう適当な雑談記事なので、どうかご容赦いただきたく。

※何故、モバイルについてばかり触れているのかと言うと、PC 市場は既に飽和状態で、ユーザー数の大幅な増減は考え難いからです。
もちろん、Windows 10 ではじめて Microsoft アカウントを作る PC ユーザーはそれなりに多いでしょうが、それも含めておおよその絶対数が見積り易いので。

2015/12/13 追記:Microsoft が方針を少し変更しました

 申し込み(オプトイン)を行えば、これまでと同じ容量を無料分として利用できるように Microsoft が方針を変更しました。

 つまり、申し込みさえしておけば、既存ユーザーはこれまでの 15GB + カメラロールボーナスの 15GB を引き続き利用できるそうです。

 ちなみに、申込画面はこちら。

 私も、早速申し込んでおきました。Office 365 ユーザーではありますが、貰えるものは貰っておくの精神です。

 ただし、期限が 2016 年 1 月 31 日までと短いので、申し込みはお早めに。

 ていうか、後からこういうことするなら、前に 7GB に減らした時みたいに、容量を縮小するのは新規ユーザーだけにしとけば良かったのに......まぁ、わざわざオプトインする人なんて、全体から見たらせいぜい数パーセントだろうから、こっちの方が全体の容量を遥かに削減できるんだろうけどさ。

 ということで、この記事は「いま現在 30GB 使ってる既存ユーザーだろうがなんだろうが、無料分の容量を問答無用でとにかく全員 5GB に縮小してやんぜー、ヒャッハー!!」と、Microsoft 様が息巻いていた時に書かれた記事になります。

 以下、その前提で、お読みください。よろしくお願いします。

ていうか、ヒドい?

 既存/新規の区別なく、全てのユーザーの無料分の容量を、15 GB から 5 GB に一律で減らすって、ちょっとヒドくないですか?

 合わせて廃止されるカメラロールのボーナスを合わせると、実質的には 30 GB → 5 GB ですよ。

 こんなことをされたら、容量が足りなくなる既存ユーザーが続出しそうな気がするんですけど。

(ちなみに、自分が現在どれくらい OneDrive の容量を使用しているかは、こちらで確認できます)

 ていうかですね、最近の Windows で Explorer と OneDrive をシームレスに統合したり、Office 等の自社製アプリのデフォルト保存先を OneDrive にしたり、最早 Microsoft のサービス全般に組み込んでいるといっても過言ではない扱いをしているクセに、この方針転換はどうなんでしょう。ちょっとチグハグ感が否めません。

 これからモバイル市場を拡大しようとする上で、クラウドストレージは地味ながらますます重要な位置を占めるでしょうに、果たしてこの判断は正解なんでしょうか。

 だって、コンピューター全般にあまり慣れていない新規のモバイルユーザーが、いつものように写真を撮ったり何かをした時に、ある日突然「OneDrive の容量が足りません」みたいなことを言われても、すんなりと対処できるようには思えません。

 というより、なにより。

 こんな気楽にホイホイと、自分の都合で好きなようにプラン変更を強行されてしまうと、サービスとして信頼が置けなくなってしまいます。

 そもそも、Microsoft くらい大規模な企業が、軽々にやっちゃいけないことだと思うんですよねー。業界最大手ですら、こういうことを平気でするから、いつまで経っても IT 企業って軽く見られちゃうんじゃないですかねぇ。

 しかも、ユーザーには特に影響の出ない拡張ではなく、縮小という話です。

 これまでは 30 GB の容量が提供されていた訳ですから、当たり前の使い方として 5 GB 以上のファイルを OneDrive で扱っていた無料ユーザーは、今回のプラン変更に際してファイルの整理を余儀なくされてしまう訳です。

 これは、ちょっとなー......

 しかも、OneDrive って、使っていると同期に難があると感じる場面が多いのに、これじゃサービス単体としては、ますます魅力を感じなくなってしまいます。

 その内、ホントに DropBox に取って代わられたりして......

2015/11/04 追記
 ふと思い出しましたが、そういえば Microsoft は、以前も SkyDrive 時代に 25 GB → 7 GB とかやってましたね。

 もっとも、この時に削減されたのは新規ユーザーだけで、既存ユーザーは 25 GB のまま使えましたが。

 それにしても、2012 年 4 月って、思ってたより最近だなぁ。

 その後、商標の問題などがあって OneDrive に名称変更されたのが 2014 年の初頭。

 そして、同年の 6 月には無料分の容量が 7 GB から 15 GB になりました。

 こうして見ると、割りとホイホイ気軽にプランを変えていますが、IT リテラシー高めの一部ユーザーしか利用していなかったであろう 2012 年以前はもちろんのこと、直近の変更である 2014 年と比べても、最早状況が全く違うからなぁ。

 多いのはせいぜい Windows 7 ユーザーだった当時と、OneDrive(というか Microsoft アカウント)がシステムにがっちりと食い込んでいる Windows 10 を猛プッシュしている現在を、同列に語ることはできません。影響の範囲と度合いが違います。そして、その傾向は、今後ますます加速していくでしょう。

 これまでの PC ユーザーであればともかく、特にコンピューターに詳しい訳ではない、そしてこれからは大多数を占めるようになるであろう一般的な(モバイル)ユーザーが、理解を示してくれるような話とも思えませんし。

 家電感覚で考えたら、「自分が使える容量」という大事な部分が、提供者の都合次第でホイホイ変わってしまうようなサービスは、信頼されない気がします(「どうせ、すぐ使えなくなっちゃうんでしょ?」みたいな言説が蔓延しそう)。

 まぁ、だからこそ、最後の Windows という触れ込みの Windows 10 が、モバイル含めて本格的に普及する前に、いまここで容量削減をしておかないと後が大変だと、慌ててプラン変更に踏み切ったのかも知れませんね。

 それにしても、僅か 1 年経って隔世の感とは、この界隈の時間の流れの速さに、改めてビックリです。

とはいえ

 Office 365 ユーザーであれば、引き続き 1 TB の OneDrive が提供されますので、その場合はお得だな、という感想に変わりはありませんが。

 月々 1,000 円そこそこで、常に最新の Microsoft Office スイートが利用できる上に、他のクラウドストレージサービスに課金しなくて済む訳ですからね。

 実際、わたし個人としては Office 365 ユーザーですし。

 また、これまで無料で OneDrive を利用していたユーザーは、今回のプラン変更に伴い 1 年間の Office 365 Personal サブスクリプションを無償で申請できるらしいので(自動ではなく手続きが必要になると思われます)、太っ腹と言えないこともないとは思うのですが、それに関しては、うーん......クレジットカードの登録が必須なことから、日本の携帯キャリアじみた解約忘れ狙いが見え透いていて、手放しには歓迎できないといいますか。

(補足:FAQ では「5 GB 以上利用していて、今回の変更で影響を受ける無料ユーザー」のような書き方がされているのですが、実質的に全ユーザーが対象となる気がします。また、日本における Microsoft Office の扱いは特殊なので、日本でどのような提案がされるかは、まだ不明です。日本語 Blog の翻訳も、その部分だけ除外されていました)

 いや、サービスに自信があればこそ、一度でも使ってもらえさえすれば、ユーザーは自主的に利用を継続してくれる筈だと踏んでいるのかも知れませんけどね。

はじまる前に終わってた

 ところで、こうなってはじめて実感できたのですが、海外だとちゃんと容量無制限で、実際に運用されてたんですね(笑)

 日本でも、ちょうど一年前に、順次容量無制限にしていくと発表されてはいたのですが。

 ジツはこれ、日本だと「はじまる前に終わってた」というオチなんじゃないのかなぁ......

 ひっそりと運用が開始されていたのだとしても、大々的に告知はされていなかった筈。

 Office 365 Solo の宣伝文句も、ずっと「1 TB のオンラインストレージ」でしたからね。

 なんにせよ、ここ数年来の Microsoft のクラウド事業には、かなりの好印象を抱いていただけに、今回の件は少なからず残念に思います。

 世界に冠たる日本のガラパゴス性をいまこそ活かして、日本だけは従来通りの容量を無償で提供します!みたいなことになればいいのに(笑)

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