これまで、クラウドストレージについては、こんな記事やこんな記事でアレコレご紹介してきましたが、「あー、こりゃもう、Microsoft の OneDrive で一本化しちゃっていいのかもなー」と思わされるニュースが飛び込んできました。
やべぇ、月額10ドル以下で OneDrive が容量無制限で利用できる上に、常に最新の Office が使えるようになってしまう(おまけに、60分の Skype 無料通話もついてきます)。
まぁ、ただしコレ、日本の話じゃないんですけどね。
でも、将来的には、日本向けのサブスクリプションでも容量無制限になると思います。というか、現時点でも日本向の Office 365 Solo(月額 1,274円/年額 12,744円)には 1TB 分の OneDrive 使用権がついているので、割りと充分です。
なんて、いきなりサブスクリプションだの Office Solo だの言われても、ワケ分かりませんよね。
Microsoft Office の話は、色々ややこしいので、以下で少しだけ詳しく見て行きましょう。私も大して通じている訳ではないので、あくまでゆるい感じで適当にですけど。
追記:(2014/11/02)
すみません、日本も含んだ話でした。
日本で容量無制限になるのは、少し先の話になるだろうと思っていたのですが、英語の OneDrive ブログで発表された2日後には、日本の Office オフィシャルブログでも言及されていたようです。
- Office 365 をご利用いただいているお客様の OneDrive 容量が無制限に - Japan Office Official Blog
まぁ、でも、1TB か容量無制限かはそれほど重要な点でもなかったから、内容自体にはあんまり影響ないし、別にいいですよね(開き直り)。
※但し、全アカウントに対して即時に反映される訳ではなく、数ヶ月かけて適用していくようです。とはいえ、現状でも 1TB は利用できるので、通常は適用前に不足することはまず無いでしょう。
と書いて、はや数ヶ月(2015/08/16現在)。本家ページ等における 1TB の表記が、容量無制限に変わる気配が、何故か一向にありませんね。「やべっ、ちっと調子乗っちった。やっぱナシの方向で、シクヨロ!」みたいなノリで、まさか、このまま無かったことにするつもりじゃないだろうな......
と、追記したのが記事投稿直後のこと。
それから 1 年が経ちまして、なんと、早々と廃止されてしまうようで......
2015/11/03 追記
無かったことにするというか、早くも容量無制限プランの撤廃というオチがついたようで。
日本のオフィシャルブログでは、まだ言及されていないようなので、英語の OneDrive ブログと別の日本語記事を。
追記が長くなってしまったので、別記事として切り出しました。よろしければ、そちらをどうぞ。
ていうか、こうなってはじめて実感できたのですが、海外だと実際に容量無制限で使えてたんですね(笑)
これ、日本だと「はじまる前に終わってた」というオチなんじゃないのかなぁ......
読み込み中です。少々お待ち下さい
日本の MS Office は特殊だ
前にもどこかの記事で書いたのですが(どの記事かは忘れました)、日本の Microsoft Office 事情は世界的に見ると大変に特殊でして、えぇと、説明するのめんどくさいな詳しくはこちらの記事をご覧ください(丸投げ)
Microsoft Office に関する日本の特殊性について、ご理解いただけたと思います。
え?上にあげた素晴らしい記事を精読してないですって?そんなの、私もですよ。
はい?長いから3行まとめろ?
そんなの、常に長くて無意味にクドい記事しか書けない人間に言う台詞じゃないデスよ?
はい、はぁ、仕方ないですねぇ、じゃあ、拙い説明で申し訳ないですけど、簡単にまとめてみますけども。「コイツの言うことは信用できねー」って思ったら、ちゃんと上の記事も読んでくださいね。
さて、Microsoft Office に関して、日本の何が特殊なのかと言いますと、まずひとつ目は、これです。
1.圧倒的なプレインストール率
Microsoft 自身の言葉を借りるならば、実に 94.1% もの PC にプレインストールされているそうですよ。うへー、異常~(笑)
いや、上の数字は出荷ベースの単純計算っぽいので、実際のパーセンテージはもう少し下がると思いますが、それにしたって多いですよね。どんだけ MS Office 好きなんだ、日本人。
このような有り様なので、日本人の大半が「Office はパソコンについてくるモノ」だと認識していたとしても無理からぬことだと思います。
思いはしますが、こんな国は世界でも日本だけなのです。パソコンに Microsoft Office はついてこないのが、世界の常識です。欲しければ、パソコンとは別に買うものなのです(オプションとして選択できる場合もありますが、別途買うのと同程度の費用がプラスされるだけです)。
そして、もうひとつの特殊性が、これです。
2.全バージョンで商用利用が可能
つまり、日本では Standard だろうがプレインストール版だろうが、どのライセンスでもお仕事に使って良かったのです。
「は?そんなん当たり前じゃね?」と思うかも知れませんが、海外で提供されている Personal や Home のような個人用のライセンスだと、商用利用が許可されていないのです。
つまり、お仕事に使えません。
ライター稼業が個人向けの MS Office を使って書いた記事で対価を得てはいけないのはもちろん、企業戦士(死語)が自宅に資料を持ち帰って個人所有の PC にインストールされた個人向けの Office を使ってお仕事(営利目的)の続きをすることも厳密には許されないらしいのです。
誰あろう Microsoft 様に禁止されてしまっては是非もありません。24時間戦えますかとか言ってハッスルしていたお父さんも、家ではゆっくり一家団欒するしかないという寸法です。
するってぇと、アラ不思議!家庭円満、家内安全、学業成就に恋愛成就、お父さんは夜のお勤めにハッスルするようにゲフンゲフン、いやはや、Microsoft 様のお心遣いは五臓六腑に染み渡りますなぁ、と言った具合に、えぇと、何喋ってたんだっけ。ああ、そうだ、つまり、海外では(Office 2010 以降)個人向けのライセンスだと仕事に使えないんですよ!(断言)
とはいえ、ワーカホリック大国であるここ日本においては、それだと Office の意味無くね、Office って仕事以外になんか使うの? つか、仕事で使えないのに Office()とか、みたいに冷笑されてしまうのがオチなので、Microsoft としても「日本めんどくせー」と忸怩たる思いを抱えながら(妄想です)、全ライセンスに対して商用利用権をつけ続けてきた訳です。
このような調整がめんどくさい特殊性から、日本では導入が遅れていた個人向けの Microsoft Office のサブスクリプション制ですが、海外から遅れること2年弱(国外では、2013年初頭から提供されています)、Office Premium と Office 365 Solo という、これまた日本独自の形式で提供される運びと相成りました。
ちなみに、日本でも法人向けの Office 365 は 2013 年の初頭から提供されています。
でも、こっちも国外では、日本の2年くらい前から提供されてるんですよね(笑)
- マイクロソフトがOfficeのクラウド版にあたる「Office 365」を正式リリース(2011年の記事です)
まー、日本は特別扱いと言えば聞こえは良いですが、ライセンス体系を世界共通にしたい筈の Microsoft にとっては、どっちかというと、なまじ売上が良いだけに扱いに困る厄介者というか......いや、もちろん当の Microsoft は、そんな風に考えてないと思いますけどね!
あ、しまった、3行でまとめる筈が、2行で終わってしまった。
まぁ、単なる言葉のアヤってもんですし、別にいいですよね。え、ダメ?じゃあ、3つ目は、皆さんの心のなかに......(適当)
日本向けの Office 365 はお得?
この記事では、基本的に個人向けの Office に限定して話をしますが、日本 Microsoft が「間違いなく世界最高のオファー」と自信を見せるだけあって、日本の個人向け Office 365 は、まぁ、お得と言っていいんじゃないでしょうか。
パッと見、国外の Office 365 Home ライセンスならば 5 台もの PC にインストールできるのに、国内向けの Solo だと同じくらいの値段で 2台にしかインストールできないとは何事だ! と文句のひとつも喉まで出かかってしまいますが、国外と異なり日本では引き続き全てのライセンスで商用利用が可能なので、ある意味お得と言えるのです。そうかなぁ。お父さんお母さんが家に帰っても仕事できるのは、お得なのかなぁ。
それから、月やら年単位で料金を支払うサブスクリプション制ではない、これまでの買い切りタイプの Office と比べてどうなんだ、という話もありますが、こちらもお得と言っていいんじゃないでしょうか。
だって、Office のパッケージって、一番安い Personal でも 3 万円以上もしてたんですよ?
Office 365 の Solo は年額 12,744円ですから、大体 3 年分でパッケージ版と同じくらいの金額になるとして、3 年あったら Office の新しいバージョンが出て買い替えが必要になるかも知れないじゃないですか。
とはいえ、日本で Office を定価で買う人がそうそういるとも思えないというか、上で書いたように日本人にとっての Microsoft Office は「パソコンについているモノ」であって、そもそも単体でお金を払う対象ではないという感覚の方も多いと思われ、そのような層にとっては毎月毎年お金を取られるサブスクリプション制は、非常に割高に感じられてしまうかも知れません(斯くいう私もですが)。
でもですね、プレインストールとのハイブリッドである Premium の方ならば、縛りは多いものの Solo よりもさらにお安いですし、詳しくは Microsoft 自身の紹介ページをご覧いただくとして、
サブスクリプション制の利点としては、まず「常に」最新の Office が使えることがあげられます。新しいバージョンが出る度に、いちいち買い直す必要が無いのです。
そして、Offce 365 Solo ならば、従来の Personal にはついていなかった PowerPoint が使えるのはもちろんのこと、なんと、あの Access まで利用可能なのです!
マジで!? スゲェ!!
あ、大して興味無いですか。
そすか。
ですよね。
ジツは私も、案件で必要にならない限り、別に要らないです。ノリで盛り上がった風な書き方しちゃって、スンマセンした。
あの、でも、いちおう、これまでは Professional っていう一番高いエディションじゃないと使えなかったんですけど......あっ、スンマセン。ですよね、どうでもいいですよね。
と、そこで満を持して OneDrive の登場ですよ!(思い出した)
OneDriveの話をしよう
そうそう、OneDrive の容量無制限の話をしたかったんでした。
別に Office のライセンスの話なんてどうでもよかったんです。単に「日本の Microsoft Office 事情は特殊だから、国外で Office 365 に付随する OneDrive が容量無制限になったとしても、日本でそうなるのはしばらく先のことになるかもね」と言いたかっただけなのです。
これに関しては、さすがに1年も2年も遅れるとは思いませんが、とはいえ現状の日本向け Microsoft Office 365 Solo でも、既に 1TB の OneDrive 使用権がついてるんですよ。
正直、現時点であれば、オンラインストレージって 1TB もあれば充分じゃないですか?
つい先日(2014/06)、大幅に値下げされたばかりの OneDrive ですが、それでも単体プランだと 100GB で 190円/月、200GB で 380円/月かかります。
それが、 Microsoft Office 365 Solo には、問答無用で 1TB ついてくる訳ですよ。
OneDrive の料金で単純計算すると、200GB で 380円/月ですから、1TB だと 5倍の 1,900円/月......あれ、この時点で Microsoft Office 365 Solo の 1,274円/月超えてね?
しかも、Solo は年間一括払いだと、約16%もお得な 12,744円。
その上、オマケで Microsoft Office の最新版まで使えちゃうんですよ!?
いや、違う違う、オマケじゃない、Office の方がメインでした。まぁ、どっちでもいいけど、これって素敵にお得じゃありませんか、どうですか、奥さん。
いやー、こりゃもう、クラウドストレージは Microsoft の OneDrive で決まりかなー、という気分になってきました。
我ながら、ちょろ過ぎる気もしますが。
OneDrive はローカルドライブに優しい
さらにその上ですね、OneDrive はローカルストレージの容量が少ない環境に優しいのです。
どういうことかと申しますと、こんな記事を書いておきながらお恥ずかしいことに、私もつい最近気付いたんですけど、エクスプローラにシームレスに統合された Windows 8.1 の OneDrive は、デフォルトでローカルにコピーを作らないようになっていたのです(Placeholder / プレースホルダー機能。8.1 の機能なので、Windows 7 等では使えません)。
もう少し噛み砕いて申し上げますと、「エクスプローラ上ではあるように見えるけれども、実際はローカルストレージ上に存在しない」という状態でファイルを扱うことができるのです。
つまり、OneDrive フォルダ配下に関しては、必要な時に必要なファイルだけをクラウドから取り出すという使い方ができるので、HDD や SSD のようなローカルストレージの空き容量を圧迫しないで済むのです(細かいことを言えば、エクスプローラ上で扱う為のファイルのメタデータはローカルで保持されますので、まったく容量を消費しない訳でありませんが)。
クラウド上の容量を、そのまま拡張ドライブとして利用できる的な感覚と申せましょうか。
これは素晴らしい機能ですよ。特に容量の少ない Windows タブレットを利用している場合などは、この機能の存在だけでメインにするクラウドストレージは OneDrive 一択になってしまいかねないほどの素晴らしさです。
ちなみに、現在ファイルがローカルに存在するかどうかは、エクスプローラ等で確認できるファイル属性の「利用可能性」で判断できます(「利用可能性」て。もうちょっと良い日本語はなかったんでしょうか。いや、嫌いじゃないですけど)。
利用可能性が「オンラインのみ」の場合(スマートファイル)、そのファイルはローカルに存在しませんので、開く時はクラウドからダウンロードする必要があります。
とはいえ、ダブルクリックで開いたり、ローカルに存在する別フォルダにコピペするなど、通常の操作で自動的にダウンロードされるので、あまり意識しないでも大丈夫です。
右クリックから「オフラインで使用する」を明示的に選択してダウンロードすることも可能です。ダウンロードしたファイルやフォルダを、再度「オンラインのみ」にすることもできます。
ただし、「オンラインのみ」の状態だと、エクスプローラ上であるように見えるだけで、実際のファイル自体はローカルに存在しないので、右クリックから「送る」などパスを渡す系の操作を行うと失敗することがあります。
利用可能性が「オフラインで利用可能」であればローカルに存在しますので、通常のファイルと同じように扱えます。
また、これまで通り OneDrive フォルダ配下の全てのファイルを同期する設定も、もちろん可能ですので、「空き容量なんて腐るほどあるから、自動的に勝手に同期しといてよ」派の人にも安心です。
追記:(2014/11/19)
事程左様に有用な、ローカルにファイルのコピーを作成しないこの機能(プレースホルダー)ですが、次期 Windows 10 の Technical Preview では削除されてしまい、同期対象として選択したフォルダ配下のファイルしかローカルでは見えなくなってしまったようです(つまり、同期対象に含めなかったファイルやフォルダは、Web 経由でないと確認できない)。
引用記事は「プレースホルダーの仕組みは、一般的なユーザーには分かりにくかったという判断なのだろう」と推測していますが、もし本当にそうであれば、Microsoft には是が非でも考えなおして欲しいところです。スマホライクな使い方をすれば良いのだとユーザーに認識させることができれば、むしろ多くの人にとって馴染みのある挙動だと思いますし(もちろん、正確には同じものではありませんが)。
まぁ、まだ Technical Preview なので、必ず削除されるとは限りません。オプション扱いでいいから、残して欲しいなー。Windows タブレット買ったら、私は絶対この機能欲しいんですけどー。
結局のところ:(2015/08/16)
やっぱり、製品版の Windows 10 でも復活しませんでしたね、プレースホルダー機能。
残念過ぎるー。
Windows 10 Preview 版での経緯は、履歴としていちおう残しておきますが、もうほとんど必要無いので閉じておきますね。
復活しました!:(2017/11/01)
追記が遅くなりましたが、Windows 10 の「Fall Creators Update」で、プレースホルダーに類似した機能が OneDrive の「Files On-Demand」と名前を変えて復活しました! やった、超ウレシイ!!
いやー、しかも OneDrive がですね、これは既に Web 版の方で利用できるんですが、ファイル履歴にも対応したんですよ。
これがもう、「あ、ちょっと一時間前の状態に戻したい」みたいな時に、ホント便利。同期処理も徐々に安定してきましたし、やっぱり Office 365 はお得ですなぁ。
おわりに
いやー、1TB 分の OneDrive が使えるだけでも、 Microsoft Office 365 Solo を買う価値はあるかもなー。しかも、国外に追従する形で、そのウチ日本でも容量無制限になるだろうし。
マジで買っちゃおうかなー、とも思うのですが、普段使いのスマホが iPhone であること、そして、この記事にも書きましたが、クラウドストレージのプライバシーを考慮した場合、感覚的に 7割くらいハード屋で、競合に比べてユーザーの個人情報に興味がなさそうな Apple の iCloud Drive も捨てがたいんですよね。
Google に代表されるサービス提供会社によるユーザーの個人データの覗き見が問題になる中、暗号キーの所有を放棄したり、Apple Pay でもユーザー情報を収集しないなどの潔さ。
まぁ、こんなことを言われたりもするので、あくまで比較的、という話ですが。
いまの時代、サービス提供会社に何も情報を送信しないということはあり得ないので、問題視しようと思えばなんでもできちゃいますし。ていうか、Apple の場合はうっかりポカの方が怖い気がします(笑)
で、Microsoft も Google よりはマシな気がするので(根拠薄弱ですが、Google ほど広告収入を柱としている訳ではないので)、やっぱフルフルの Office に 1TB 容量無制限のクラウドストレージがついて、年一括払いなら月割りで1,000円そこそこの価格は魅力だなぁ。
それでなくても、前から「クラウドストレージは OneDrive でいっかなぁ」と個人的には思ってたことですし。
うーん、悩む。あと1年くらいは、結局どれにも課金せずに悩んでそうですけど(笑)
追記:(2014/11/05)
個人的に、ちょっとびっくりなニュースが飛び込んできました。
クラウドストレージに課金するとしたら OneDrive(というか Office 365)にしようかな、と半ば決めかけていた私にとっては、微妙に不穏当なニュースなのですが。
その内、「ストレージは DropBox に任せて、OneDrive はやっぱ無しの方向で」とか言い出さないだろうな......まぁ、Windows とシームレスに統合しちゃったし、無いと信じたいところですが。
うぅん、悩みは深まるばかりでございます。