これまで電子書籍のコミックについて何度か記事を書いてきましたが、そういえば見開きに関して全く言及していませんでした。
ので、いちおう自分なりの立場を表明しておこうかと。
個人的なスタンスとしては、寝っ転がってぐーたらマンガを読むには、取り回しやすい7~8インチのタブレットが最適だと考えているので、普段から自然と見開きではなく片面読みを前提に考えています。
ですので、当ブログのタブレット&電子書籍関係の記事は、全て片面で読むことを念頭において書かれています。
ですが、マンガはどうしても見開きでなければ許せないという方も、中にはいらっしゃるかも知れません。その場合は、10 インチ以上のタブレットをオススメします。
ただし、寝っ転がって読むには、10インチ以上はやっぱり大きくて持ち難いと思います。
いちおう 9.7 インチの iPad 3 も手元にあるので、そちらで見開き表示した場合と、7 インチの Nexus 7 2013 で片面表示した場合の比較写真を載せておきますね。
ちなみに、最新の iPad Air や iPad Air 2 も、ディスプレイの大きさ自体は iPad 3 と同じ 9.7 インチ(アスペクト比 4:3)ですので、表示の参考にはなると思います。本体のサイズは、もちろん Air の方が全然薄くて軽くて小さくて持ち易いですけどね(笑)
追記:(2014/05)
12 インチで 2160x1440(アス比 3:2)という、見開き表示には最適と思われるタブレット『Surface Pro 3』を、Micorosoft が発表しました。
ちなみに 3:2 というアスペクト比は、見開きのみならず片面読みにも最適です。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
読み込み中です。少々お待ち下さい
簡単に比較
以下のように、10 インチ前後(且つアスペクト比が 4:3)のタブレットであれば、見開きでも 7 インチ(アス比 16:10)のタブレットと同じくらいの大きさで読むことができます。
ただ、人によっては B6 判を読むには、若干小さいと感じられるかも知れません。
おまけで、iPad mini Retina(mini 2)との比較。
iPad mini Retina だと見開き表示は小さすぎるので、個人的にはナシかなーと思います。
リアル本と比較
リアル本との比較もあった方が分かり易いかと思い、写真を追加してみました。上が 9.7 インチの iPad 3 の見開き表示、下が紙の B6 判の見開き、ついでに重石の iPad mini Retina です。
9.7 インチの iPad 3 ですら、実際の表示領域はリアル本の B6 判より2まわりほど小さいのが分かります。見開き表示で読んでいると小さくてしんどくなってくるので、iPad 3 を使っていた時も、最終的には片面読みをしていました。
なので、快適な見開き表示に拘るのであれば、個人的には 11 インチ以上をお薦めします。
新書とアスペクト比について
ここで比較しているのは B6 判ですが、iPad 3 のディスプレイの横幅と Nexus 7 2013 のディスプレイの縦幅はほぼ同じなので、新書もほぼ等しい大きさで読めます。
注意点として、これは画面が 2048x1536 でアスペクト比が 4:3 の iPad だから、ここまで綺麗に見開き表示が画面内に収まるのであって、1920x1080(アスペクト比 16:9)や 1920x1200(アスペクト比 16:10)の機種だと、例えディスプレイのインチ数が同じであっても、見開きで表示すると左右に大きな余白ができてしまい、さらに縦に非常に小さく縮小されてしまいます。
1920x1200(アスペクト比 16:10)の Nexus 7 2013 ですら、見開き表示をすると左右にこれほど巨大な余白ができてしまうのですから、1920x1080 のディスプレイなんて、もっとです。横向き(Landscape)での見開き表示に拘るのであれば、iPad と同様にアスペクト比が 4:3、且つ 10 インチ以上のタブレットを選択するべきでしょう。
追記:
4:3 をも凌駕するほど見開き表示に適した、12インチ、2160x1440、アスペクト比 3:2 の『Surface Pro 3』が発売されました。ただし、ご存知のように「Windows」タブレットなので、真っ当に対応している電子書籍ストアが限られているのが難ですが......
詳しくは、こちらの記事をご覧ください)
んん?
う~ん、なにやら写真を撮っていて気付いたのですが、同じストアでも端末またはアスペクト比などの条件によって見せ方を変えていたり、ストアによっては見易いように左右を断ち切っているケースもあるようですね。
同じような写真が連続してしまいますが、アスペクト比による見開き表示の違いの例示も兼ねつつ、以下で比較してみます。
上の3枚が 16:9、16:10、4:3 になりますが、16:9 は手持ちに調度良い端末が無かったので、ほぼ16:9 である iPhone 5 で代用しています。
あえてアプリ名には触れませんが、上の3枚は同じストアのアプリを異なる端末で表示しています。販売元が同じアプリですから、使われているデータもおそらく同じであると考えられます。
ところが、微妙な差異ですが、同じストアアプリによる表示にも関わらず、上から2番目の写真では、(元から画像自体に含まれている)上下の余白を表示しないように調整されているのが分かると思います(これが、アスペクト比による調整なのか、iOS と Android の差なのか、はたまた端末毎に細かく環境を判断しての調整なのかは、ちょっと分かりませんが)
そして、一番下は販売元自体を異にする別アプリでの表示です。これまた微妙なのですが、上の3枚の写真と較べて、左右が少しだけ断ち切られているのが分かると思います。これはおそらく、プログラムによる表示の仕方の違いというよりは、データ自体がそうなっていそうですよね。
つまり、断ち切り方がストアによって違うことが伺えます。
なるべく画面にフィットするようにという配慮だと思われますが、できれば他所と比べて断ち切り過ぎるのではなく、というより画像自体はなるべく断ち切らずに、プログラムの表示の仕方で調整して欲しいかなー。
これら表示の差異については、いずれ調べられたら別記事としてまとめてみようと思います。
おわりに
少し前までは、片手で無理なく保持できる 7 インチのタブレット推しだったのですが、セリフや書き込みの密度が高いコミックを読むには少々しんどい場合があるので、やっぱり 8 インチの片面読みが寝っ転がってぐーたらマンガを読むには最強かも知れないと思い直しかけています。
追記:完全に思い直しました。8±0.5 インチが最強でしょう。7 インチだと、ちょっと小さいです。
つまり、上のように 7 インチの片面読みとほぼ同サイズである 10 インチでの見開き表示も、密度の高いコミックを読むには若干厳しい場合があるかも知れません。
それでも見開きに拘るのであれば、9.7 インチでありながら非常に筐体の小さい iPad Air が最良の選択肢かも知れません。
もしくは、もう開き直って 11~13 インチくらいのタブレットを狙ってみるとか。
でも、実際のところ見開きって、出現率が比較的高い少年マンガですら、1冊につきせいぜい数%だと思いますので、その他の大部分を占める見開き以外のページまで小さい表示で頑張って読むほど、そんなに見開きにこだわる必要ってあるのかなぁ、というのが個人的な見解です。
紙の本でマンガを読んでいた経験が長ければ長いほど、タブレットで電子書籍を読み始めてすぐの頃は、どうしても見開き表示に拘りたくなるものですが、その心理的ハードルさえ越えてしまえば、実際のところ片面読みにはすぐに慣れます。
慣れると片面読みでも操作と脳内補完で意外と快適だし、無理して大きめのタブレットで読むよりは、持ち易い7~8インチの方がゴロ寝コミックに適していると思いますので、当ブログでは今後も片面読み前提で記事を書いていくと思います。
いや、作者さんは見開きは見開きで読んで欲しいだろうなぁ、とは思うんですけどね。
というか、いつまで経っても紙の本向けのレイアウトしか考えてなさそうなことの方が問題な気もします。ネット上で発表されたマンガを紙の本にする時は、ほぼ必ずレイアウトし直すのに、逆の場合はほとんどそういうことをしませんよね。
まだ市場規模が違うので、そんな手間をかけていられないのも分かりますし、それで電子化が遅れるくらいであれば紙のレイアウトそのままでいいんですが、売り物なんだから、せめて情報付加して見開きの時だけ自動的に横向き(Landscape)にしてくれる見開きオプションくらいつけてくれてもいいと思うんですけどね。あ、デフォルトはオフでお願いします。
電子書籍は電子書籍に適したレイアウトにしてくれるのが、ホントは理想的ですけどねー。
いまのところは難しいと思いますが、数年後には様子が少し変わっていると予想。
追記:(2015/01/10)
この記事を書いて、早1年。
その間に、特に大手の出版社が本格的に電子化に取り組み始めた感があり、レイアウトを含む電子書籍への最適化は思ったよりも早く一般化するかも知れないなぁ、という印象を抱いています。
まぁ、実際のところは1年前と大して変わらず、まだ紙のデータをそのまま画像化して並べているだけという形がほとんどなのですが、例えば集英社がかの週刊少年ジャンプをジャンプ+で紙と同時に電子版で購読できるようにしたことを皮切りに、講談社が全漫画雑誌を紙と同時に電子化すると宣言したりと、出版社の本気度が明らかに(ようやく)変わってきたので、気配すらロクに感じられなかった1年前よりは、だいぶマシかなー、と。