今回の記事は、単なる与太話......の筈だったのですが、なにやら Apple Pay のこれまでに関する簡単なまとめみたいになってしまいました。
ですが、結びが与太以外の何者でもないので、そのつもりでお読みください。
さて、この度 iPhone 7 / 7 Plus と共に鳴り物入りでサービスが開始された Apple Pay ですが、サービス対象外である既存の機種(iPhone 6s)を使い続けている身としては、ですね。
「ふ、ふん。iPhone 7 なんて、中途半端なおサイフケータイ機能がついただけで、iPhone 6s と大して変わんなくね? ていうか、カードを仕舞えるケースを使えば、別に iPhone 6s でも同じようなことできるしぃ⤴?」
などと皮肉らしい憎まれ口を叩きながら、最新機種の輝きもまばゆい iPhone 7 を使って軽やかに改札を通り抜けるアーリアダプター様方を忌々しげに横目で見送るしかない日々が続いていた訳です。
いや、諦めにも似た気持ちで、そう思い込もうとしていたにも関わらず。
それなのに、ですよ!?
スマホケースに忍ばせた IC カードを自動改札機に近づけた瞬間、無視されるべき存在である筈の我が iPhone 6s がなにやら反応して、見事 Apple Pay の画面を表示してみせたではありませんか!!(支払いができたとは言ってない)
それを目撃して、ワタクシ、「おや?」と思いました。
なんか知らんけど、自動改札に無駄に反応するっていうことは。
ひょっとして、なんかの間違いで iPhone 6s でも Apple Pay が使えたりするんじゃね?
そんな風に思いまして、ちょっとだけあれこれ試した結果を、ここに記します。
この時点で、色々とツッコミを入れたくなった方も多いことでしょう。
ままま、Apple Pay に関しては、割りと色々ややこしい事情がありますので、順を追って状況を見ていきましょう。
読み込み中です。少々お待ち下さい
Apple Pay は、以前の機種でも使えます
まず、結論から言ってしまいますと、iPhone 6 や 6s でも Apple Pay は使えます。
その証拠に、iPhone 6s 等の iOS を 10.1 にアップデートすると、初期設定として以下のような Apple Pay の登録画面が表示されます。
また、Apple Pay は iPhone だけでなく、Apple Watch はもちろんのこと、比較的新しい iPad や Mac でも利用できます。
対応機種について詳しくは、本家の説明をご覧ください。
ただし、ですね。
ここがミソなのですが、店先でレジ横の読み取り機にかざして「ピッ」と支払うような、いわゆるおサイフケータイ的な使い方は、iPhone 7 / 7 Plus と Apple Watch しかできません。
それ以外の機種では、本家の説明にあるように、アプリやウェブ上の決済で使えるだけなのです。
この点が、分かり難さの第1チェックポイントじゃないでしょうか。
iPhone 6(s) 等の旧機種でも、Apple Pay 自体は使えるけれども、店先で「ピッ」とすることはできない、という。
さらに、人によっては「Web やらアプリ決済で使えるっていっても、そんなの他にいくらでも代替手段があるし、いったい何が嬉しいのさ」と感じることがあるかも知れません。
まぁ、正直なところ、現状では大して嬉しいことは無いのですが、Apple Pay の大きなメリットとして、クレジットカード番号をお店側に伝える必要がなく、非常に安全に決済が行えることが挙げられます。
- 日本の Apple Pay のセキュリティとプライバシーの概要 - Apple サポート
(以下、米国で Apple Pay がサービスインした当時の記事)
- Apple Payのセキュリティについて知っておくべきこと - ESET | マイナビニュース
- 見落とされているApple Payの本当の価値 | TechCrunch Japan
Apple Pay に対応しているアプリや Web サービスが、まだあまり存在しないので、メリットをほとんど享受できない現状が残念ではありますが、日本における iPhone の異常な普及率を考えると、今後急速に浸透していくことが期待できると思います。
仕組み的にセキュリティがかなりしっかりしていて安心感があり、かつ登録や操作も簡単ですので、色々なサイトやアプリで使えるようになったら、私も積極的に利用していこうと、いまのところは考えています。
補足:
既にダークウェブ辺りに流出してしまったクレジットカード番号を使ってなりすまされる可能性は Apple Pay でも同様ですが、それはカードに記載されている数字さえ分かってしまえば決済が行えるというセキュリティもへったくれもない恐ろしく単純なクレジットカードという仕組み自体の問題点であり、そのカード番号の流出自体が Apple Pay ならばシステム的にはあり得ないというのは、利用する意欲をなかなか刺激してくれる長所ではないでしょうか。
以前の機種でも「ピッ」とできます(ただし、日本ではできません)
ジツは、iPhone 7 でなくても「ピッ」として支払いを行えます。
そもそも米国で Apple Pay がサービスインしたのは、iPhone 6 / 6 Plus がリリースされた当時な訳でして、店先で「ピッ」とするのに必要な NFC チップは、当然ながらその頃から搭載されていた道理です。
つまり、海の向こうでは、とっくの昔の2年前から、iPhone を使ってお店で「ピッ」とできていた訳ですね。
でも、日本では利用できませんでした。
何故かというと、iPhone 6(s) / Plus / SE に搭載されたチップは、日本で普及しているおサイフケータイや Suica 等で使われている規格に対応していなかったからです。
- iPhone 6 / 6 PlusのNFCは初年Apple Pay限定。おサイフケータイもSuicaも使えない|ギズモード・ジャパン
- iPhone6はなぜ日本でおサイフケータイとして使えないのか - iPhone Mania
(米国で Apple Pay がサービスインした当時の記事を意図的に紹介しているので、現在では引用元の内容と状況が変わっている部分があります)
ごくかいつまんで説明すると、日本においておサイフケータイや Suica といった形で普及している FeliCa は、例によってかなりガラパゴスな技術でありまして、全世界を相手にしている Apple としては、製造コストの面からハードウェア的にはどの国でも同じものを販売したい筈ですから、極東の島国とその他一部でしか通用しないマイナーな規格に対応する為に、わざわざ専用のチップを載せる気にはならなかったのだと思われます。
という訳で、これまで使えなかったので当たり前ですが、日本では Apple Pay はあまり話題になりませんでした。
※もう少し正確に言うならば、iPhone 6 から搭載されている NFC Type A / B に対応した決済端末が置かれた一部店舗では、日本でも iPhone 7 以前より Apple Pay での決済が可能でした。但し、単に端末を置けばよいという話ではなく、カード会社や銀行も絡んでくることなので、利用は非常に限定的なものでした。
- Apple Pay、こっそり日本国内の一部マクドナルドで利用可能だった - iPhone Mania
- ASCII.jp:横浜でApple Payを使ってマクドナルドを食べ歩く
それが一転、今回の iPhone 7 / 7 Plus に FeliCa 対応チップが搭載され、Suica 等が使えるようになった理由として、交通系のモバイル NFC で Type F(≒ Falica)が標準として組み込まれることが決まったからだとか、世界的に売上を落としている iPhone の販売が日本でだけは何故だか絶好調なので優遇されたのだとか、様々な憶測が飛び交っています。
が、いち利用者であるエンドユーザー的には、割りとどうでもいい話なので、この辺りはさらっと流しますね(笑)
要するに、同じ iPhone を使ってはいても、米国等では以前から「ピッ」とできていたのに、日本ではできなかった、というのが、NFC の複雑な事情と相まって、分かり難さの第2チェックポイントとなっているように思います。
以上のようなことを踏まえて、ようやく本題です。
補足:
どうやら Apple は iPhone 7 で FeliCa に対応するつもりらしい、という噂が流れた当初は、「日本向けの iPhone にだけ特別に FeliCa チップが搭載されて、その他の国にはこれまで通り NFC Type A/B にのみ対応した iPhone が提供される」とまことしやかに囁かれたものですが、結局のところ、チップ自体はやはり世界共通だったようです。
地域によって利用がソフトウェア的に制御されている場合もありますので、ハードウェアが対応していることが、そのままサービス自体の利用が可能であることを意味しませんが、いずれは世界のどこでも規格を意識せずに使えるようになるんでしょうね。
iPhone 6s でも、改札を通ったら Apple Pay が表示されたんです
さて、ここからが、今回の与太話の本題です。
前提として、手持ちの iPhone 6s を iOS 10.1 にアップデートしたタイミングで、クレジットカードの登録は済ませていました。
登録したところで「ピッ」とできないのは分かっていたのですが、まぁ、とりあえず的に。
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さらに、iPhone の裏側にぺたっと貼り付けて使うタイプのレザーのカードポケットみたいなものを愛用しているのですが、普段からそこに Pasmo を忍ばせているので、自動改札に iPhone を近づけて「ピッ」とタッチする動作自体は、以前から日常的に行っていたのですね。
擬似的な Apple Pay というか(違う)
で、その日もいつものように、自動改札に iPhone を近づけて「ピッ」としたところ、ロックして真っ暗になっていた筈のディスプレイが、なにやら点いていることに気付いたのです。
初回は、「あれ、どっかボタン押しちゃったかな?」と、あまり気にしませんでした。
なにしろ、iPhone 6s をかざして支払う Apple Pay の使い方は、日本では出来ないと頭から思っていましたので。
ところがどっこい、次に改札を通り抜けた時も、「ピッ」としたタイミングで iPhone のロック画面に Apple Pay が表示されたのです。
「あれ? もしかして iPhone 6s の NFC が反応してる?」
こんなことはいままで無かったので、ちょっとびっくりしました。
画面上で「このカードは店舗では利用できません」と注釈されているように、さすがに iPhone 7 と同様に使えるとは思いませんが、全く反応しないだろうと思っていた iPhone 6s で反応があったことにより、「なんらかの間違いで NFC が利用できたりしないだろうか」と思ってしまったのです。
主にセキュリティ的な観点から、いまのところ iPhone での利用は Apple Pay に限られていますが、本来 NFC は無線通信(規格)のことであり、その利用は決済に限られている訳ではありません。
すぐに思いつくところでは、電子機器同士のペアリング等に良く使われていますよね。
......。
いや、正直に言い直しましょう。
自動改札で想定外の反応があったことにより、「これ、iPhone 6s に Suica を登録したら、一体どうなるんだろう?」という興味がわいてしまったのです。
Suica を登録しようとしたけれど
さて、Apple Pay に Suica を追加するには、iPhone を Suica カードの上に置けば良いだけだそうです。
案の定、何も反応がありません。
ままま、ここまでは想定通りですよ。
続いて、Wallet から Suica カードの追加を試みます。
そりゃそうだよね。
うん、知ってた。
これは、クレジットカードを登録するやり方だもん、そりゃ認識しないよね。
けど、ちょっと待ってください。
Apple のヘルプには、「JR 東日本の Suica App で新しい Suica を作成して Wallet に追加することもできます」と書いてあります。
ならば、ダウンロードしてみるしかないでしょう。
iPhone 6s にインストールした Suica アプリを、意気揚々と起動します。
ああ、そうですか。
だよね。
ワカルワカルー。
でも、FeliCa 経由の決済に対応していないだけで、ウチの iPhone 6s も Apple Pay 自体には対応してるんですけどぉ~(面倒な客)。
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ちなみに、外付け FeliCa ポートである Pasori が自宅にあるので、iPhone 6s を試しに乗せてみたら、ロック画面に Apple Pay が表示されました。
やはり、反応はするみたいです。
反応するだけで、他に何もできませんけどね......
これってさー、日本の iPhone 6 ~ 6s Plus ユーザーからしたら、使えもしない NFC チップの分が端末価格に上乗せされてるってことじゃないのぉ~?
などとクレーマーじみたことをほやきつつ、今回はこんなところで。
2016/11/18 追記:
不思議なことに、登録したクレジットカードを一旦削除して、再度登録しなおしたところ、Pasori に反応しなくなってしまいました。
まぁ、元から対応していないので、別にいいんですが......う~ん、動きが良く分からん。
おわりに
えっ、この記事なんの意味があったの!?
という終わり方で申し訳ありません。
まぁ、最初から分かっていましたが、iPhone 6(s) の Apple Pay で Suica は使えないということですね。
冒頭でも触れたように、ようやく日本でも本格的にサービスが開始された Apple Pay のこれまでを簡単にまとめた記事だと思っていただければ......ダメですか。すみません。
2016/11/20 追記:
カードをしまえるタイプのスマホケースに Suica を入れた状態で、iPhone 6(s) / Plus を自動改札の読み取り機に近付けると読み取りエラーになってしまう現象について、目の当たりにしたタイミングもあって Apple Pay との関連性を疑ってしまったのですが、どうやら基本的に関係なさそうだと分かりましたので、追加で調べた内容と合わせて追記を整理し直しておきます。
まず、自動改札で読み取りエラーになってしまう件については、以前の追記でも少し触れたように、磁気干渉保護シートやセパレータを iPhone と IC カードの間に挟めば解決する問題でした。
普段から上で紹介しているレザーポケットに Pasmo を仕込んで使っていたのですが、今回、幾度か試した範囲でも、その状態だとやはりエラーにはならず、Suica に入れ替えると1回目は必ずエラーになりました(もう一度タッチすると高確率で成功)。あまり気にしていなかっただけで、おそらく以前からそうだったのだと思われます。
さらに、まだ NFC チップを搭載していない頃の機種である iPhone 5s との組み合わせでも Suica は読み取りエラーになっていたにも関わらず、磁気干渉保護シートを新たに入手して間に挟んだところエラーが発生しなくなりましたので、Apple Pay と関係が無いのはほぼ確実に見受けられます。
補足として、iPhone + Pasmo の組み合わせでエラーが発生するという報告もちらほらと散見されますので、この辺りはスマホケースの材質や形状による部分があるのかも知れません。
そして、自動改札の読み取り機に Apple Pay を有効にした iPhone 6(s) を近づけると、ロックスクリーンに Apple Pay の画面が表示されてしまう現象ですが、こちらは磁気干渉保護シートを導入しても相変わらず表示されますので、上の件とは切り離して考えた方が良さそうです。
設定アプリの「Wallet と Apple Pay」(もしくは「Touch ID とパスワード」)から、「ロック中にアクセスを許可」をオフにしても表示されますので、実際は支払えないのに無駄に画面がいちいち点くのが鬱陶しい場合は、Wallet からクレジットカードの登録を削除するしかないかも知れません。
ただ、まぁ、それだと当然ながら Web やアプリでの支払いにも Apple Pay を使えなくなってしまいますし、将来的に iOS のアップデートで解決するような気もしますので(いや、分かりませんが)、とりあえず登録はしておいても良いんじゃないかと思います。こっちは大した問題でもありませんしね。