電子書籍のコミックをぐーたらと寝転がりながら快適に読む為に、アプリには「ここはこうあって欲しい」という妄想を聞かれてもいないのに勝手にのたまうシリーズの番外編です。
今回のお題は、「可逆圧縮して欲しい」です。
アプリの機能というよりも、中身のデータについてなので、番外編としました。
とてもブログとは思えないようなねちっこい書き方をしていることを毎回反省しているので、今回はさらっと軽く行けるといいなと思います。
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圧縮について簡単に
ご存知ない方の為にごく簡単に説明しますと、今回のお題である可逆圧縮というのは画質が劣化しない圧縮方法のことです。
その逆が「非」可逆圧縮で、こちらはノイズが発生する等、圧縮する前よりも画質が劣化してしまいます。
ここで技術的な説明を詳しくするつもりは無いので平たく言いますが、日常的に馴染みのある画像フォーマットで置き換えると、可逆がPNGで非可逆がJPEGだと思ってもらえれば、だいたい合ってます(厳密に言い出すと切りがありませんが)。
つまり、普段見かけるほとんどの画像ファイルは圧縮されている訳ですね。
なぜ圧縮という行為が必要になるかと言いますと、圧縮されていない状態の画像データというのは、サイズがとても大きいからです(圧縮とは、読んで字の如く、データを圧縮してサイズを小さくします)。必要以上にデータサイズが大きいと、ダウンロードにも時間がかかりますし、それに電子書籍のコミックのサイズが1冊につき数百MBとかになったら、端末のストレージ(HDDやSSDのこと)があっという間に埋まってしまいますよね。
ということで、電子書籍のデータサイズをなるべく抑える為に圧縮が必要になる訳ですが、個人的には圧縮アルゴリズムはなんでも構わないので、とにかくコミックの場合は劣化の少ない方法で圧縮して欲しい、つまり、この頁の主旨は「なるべく綺麗な画像でマンガを読みたい」というだけの話です。当たり前ですよね。
画質が劣化しない圧縮方法があるなら、そっちを使えばいいだけじゃない、というのが素直な意見かと思います。
ところが、話はそこまで単純ではなく、通常は非可逆圧縮の方がデータサイズをより小さくできるのです。その為、おそらく1冊毎のファイルサイズを小さくする目的で、非可逆圧縮が選ばれているケースも多いようなのです。
実際の表示を比べてみよう
さて、それでは二次利用が許可されている「ブラックジャックによろしく」をNexus 7 2013上で表示して、実際の画質を確認してみましょう。いくつか試したのですが、その中から分かりやすい2つをチョイスしました。
注意点として、とある漫画はストアAの方がストアBより画像が綺麗だけれども、別の漫画ではストアAよりもストアBの方が綺麗、といったように、現状では本によって画質がまちまちなので、ある一冊だけ比べても、そのストアの提供する画質が高い低いと言うことは出来ません。
以下の例示は、ただ単に非可逆圧縮している場合があるということを確認する以上の意味はないことをお断りしておきます。
ノイズが分かりやすいので、ここではセリフ部分を各アプリで最大拡大した画像を使用しています(「ブラックジャックによろしく」第1巻9頁5コマ目。両方とも同じ縦横で切り出して以下の状態なので、拡大率はほぼ一致しています)。
参考までに、左がKinoppy、右がBookLiveの画像です。ただし、繰り返しになりますが、この1冊の比較だけでストアが提供するデータの優劣を付けることはできません。実際には、Kinoppyが最上級に綺麗なデータを提供している場合も多いです。
ということを踏まえた上で、左くらいノイズが入ってしまっていると、やっぱり絵を見せるコミックとしてはちょっと厳しいですよね。
ですが、これくらいノイズが入ってしまっているケースは、ストアによらずあまり珍しくないのが現状です。
ただ、データのサイズは左が47MB、右が79MBなんですよ。可逆圧縮でも工夫次第でそれなりにデータサイズは小さくできるのですが、平均するとやっぱり非可逆圧縮の方が小さいです。
さらに困ったことに、右の可逆圧縮の方は、おそらく解像度があまり高くありません(にも関わらず、データサイズは可逆圧縮の方が大きい訳です)。かと言って、単純に解像度を高くすると、それだけ画像のサイズも大きくなるので、データサイズはさらに増えてしまいます。
つまり、右の方は解像度を低く抑えることでデータサイズを減らしている訳で、単純にノイズが無いから画質が良いとも言い切れないのです。
画質を取るか、データサイズを取るかというのは、なかなか難しい問題です。
上にも書いたようにデータサイズが大きいとユーザー的にも困りますし、インフラ的にも負担が大きくなります。
ですが、最近は高精細なディスプレイを搭載したタブレット端末が当たり前になってきたので、データの解像度もそれなりに高くないともったいないという気持ちも捨て切れません。
できれば7インチ前後のタブレット端末で300ppi以上になるようにして欲しい訳ですが(ppi=pixel per inch。最近の代表的な7インチ前後のタブレットであるNexus 7 2013もiPad mini RetinaもKindle Fire HDXも、全て300ppiオーバーです。こちらの表をどうぞ)、可逆圧縮で300ppiで200ページ超となると、おそらく頑張っても1冊200~300MBになってしまうと思われます(もっと大きくてもおかしくありません)。
各ストアが現状で提供しているデータは、1冊につき50MB前後が多いので、大体5倍くらいになっちゃいますね。
綺麗に小さくしてください
よく考えたら、そういえば私が頑張らなきゃいけない訳じゃなかったので、ユーザーとして好き勝手を言います。
データサイズと解像度のバランスは難しいですが、とりあえずノイズは厳しいので可逆圧縮にはして欲しいです。
あと、日本のマンガは白黒ページが多いので、サイズを抑える為にグレースケールにするのは良いと思うのですが、濃淡はなるべく劣化して欲しくないのでそこからさらに減色はしないで欲しいです(追記:ここら辺はエンジン次第かも)。
それから、マスターデータから縮小する時も、できるだけ綺麗に縮小してください。
そして、できれば300ppi以上の解像度の端末に対応してください。
以上の全てをクリアした上で、1冊100MB以下にしてください。
......ダメだ、自分で言ってて無理臭いとしか思えない。ここで書いた遅延読み込みに対応してくれれば、個人的にはデータサイズは200MBくらいでもいいんですが。
てゆうか、それこそストリーミング的に保存しないで読めるようにしてくれれば、サイズの大きい高画質でも問題ないんですけどね。その線で操作性を練り込んだサービスを、マンガ限定でどっかやればいいのに。言ってばっかいないで、クラウドストレージと合わせて自炊リーダーでも作って例示すればいいんでしょうけど、もう紙は買わないことにしてるから、肝心の自分が自炊をしないので、どうにもやる気がおきませんなぁ(笑)
いや、まぁ、私自身はそこまで画質にこだわってる訳でもないんですが、繊細さが売り物の少女マンガの線があからさまに劣化していたり、トーン部分がブロックノイズで台無しに汚くなっていたりすると、さすがに「うぅむ」となる訳ですよ。最近のタブレット端末の画面解像度が良いだけに、もったいないお化けが出るというか、「この子は、ホントはもっと綺麗に表示できるのに。データさえ良ければ、もっと輝けるのに......!」みたいに口惜しさもひとしおと言うか。
紙ですら印刷品質にこだわる作家さんなら卒倒しかねないノイジーなデータとか、タマにありますからね。おまけに解像度も足りてないので、ボケボケという。割りと読めればいい派である私のような人間ですら、思わず眉を顰めたくなるレベルの低品質なデータは、あれはなんとかした方がいいと思います。
ただ、一連の記事全部ひっくるめて、私の言っているようなことって関係者には分かりきったことばかりですし、もっと言えば別に関係者が見てる訳でもないので、ここで言っても仕方ないんですけどね(正直、なんでこんなこと一生懸命書いてるんだろうと、自分でも思います)。
でも、ユーザーとして放言するだけなら自由だと思います。
綺麗なままでデータサイズが小さくなるように、どうか頑張ってください。
多分、2、3年の内には、いつの間にやらなんらかの方法で上手いこと綺麗になってるんじゃないかと期待しています(あいまい)。
追記
そういえば、Amazonは自分トコで出してるKindle Fire HDX 8.9が8.9インチで2560 x 1600 (339ppi)なのに、それを生かせないガイドラインを提示して意味不明だなぁ、と思っていたのですが、私が知らなかっただけでとっくに改定されてたんですね。そりゃそうか。
最大50MBだったのが650MBまでいけるようになったらしいので、高画質なコミックも配信できちゃいますね。
でも、1冊でCD1枚分か......それはそれで、どうなんだろう(笑)
とはいえ、現状の電子書籍のコミックは、正直なところ解像度が低過ぎです。その原因の一端を担っていたAmazonのガイドラインも改定されたことだし、今後は順次高精細にしていって欲しいですね(個人的には、標準画質と高画質で分けたりするのは、煩雑さが増すだけなので避けた方がいいと思います。多分、マニアしか喜ばない)。
てゆうか、なんかなー、日本の場合はマンガだけ別枠で考えちゃっていいと思うんだけどなー(他にこんな特殊な国ないんだし)。どうせ、この先まだ数年は紙と同じレイアウトで単純に画像並べるだけでしょ?リフローとかと足並み揃えなければ、そんな大したシステムこさえなくても、いくらでも省力化してリリース早められそうなもんだけど。
表示回りで最初に変わるとすれば、マンガボックスでやってる固定レイアウト+多言語対応だろうけど、それでリリースが遅れるのは勘弁して欲しいので、多言語はリリース時期をずらして別に用意するなり、紙を含めたそもそものワークフローに組み込んでおくなり対策を講じて欲しい。
圧縮アルゴリズムとかも、日本のコミックに最適化したのにすればいいのに。といっても、可逆だと上積みしてもたかが知れてて、弊害の方が大きいのかなぁ。
リフローと書いて思い出したけど、凝ったレイアウトのリフローで紙と同じにように表示されなければならないと思っている派の人達の気持ちが良く分からない。媒体の違いを認識していないとしか思えない。個人的には、そもそも紙にこだわり過ぎる理由がよく分からない。電子書籍に紙の理屈を押し付けなくてもいいじゃないですか。
ああ、中途半端にヘンな追記になってしまった。別記事にした方がいいですね、すみません。