[電子書籍コミック] アプリのここをこうして欲しい(その1)

 ぐーたら寝転がりながら電子書籍のコミックを快適に読む為には、前回までに紹介してきたようなハード面も大事ですが、ソフト面――すなわちストアアプリの使い勝手も負けず劣らずに大切です。
 そこで、電子書籍でコミックをより快適に読む為に、アプリには「ここはこうあって欲しい」という提言を、長くなりそうなので何回かに分けてお送りしたいと思います。

 今回は、その第1回目になります。個別のストアアプリの感想も、別のシリーズで出来たらいいなーと思っています。

 所詮は個人的な意見に過ぎませんが、今ざっと数えてみたところ、ここ1年ちょっとでホントに1000冊以上の電子書籍を購入していたので(しかも、コミックだけで。自分でも、ちょっとゾッとしました)、まぁ、それなりに利用しているユーザーのひとりとしてひと言くらいは発してもいいのではないかと。あと、開発者としては、現在のようなタブレットなんて影も形も無いずっと昔の話ですが、自炊したコミックのリーダーをWebとC#で作ったことがあります(どちらも、身内にしか公開しませんでしたけど)。

 こんな誰の目にも触れないインターネットの隅っこで述べても、あんまり意味は無いので気晴らしでしかないのですが、運悪くたまたま辿り着いてしまった方は、不幸ついでにしばらく与太話にお付き合いいただけると嬉しいです。

ホーム画面 こんな感じで、ホーム画面の2枚目は
電子書籍アプリで固めてます。

※この記事に書いてあるのは、2013/12時点で実際にアプリを触って私が個人的に確認した情報ですので、各アプリの仕様について見落としや間違いがあるかも知れません。申し訳ありませんが、その前提で読み進めていただければ幸いです。

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長編マンガは一気読みしたくなりますよね

 さて、第1回目のお題は「続巻を開く」機能です。

 記念すべき第1回目だというのに、いきなり細かすぎるでしょうか。。。で、でもですね、これって案外、気持ちよくマンガを読む上では大事な機能だと思うのです。

 面白い長編マンガを読み始めたら止まらなくなって、全巻を自分の脇に山積みして次々に読み進めてしまうことって、紙の本ではよくあるじゃないですか?

 それって、電子書籍でも同じです。お気に入りの長編マンガの1巻目を読み終えたら、やっぱりすぐさま立て続けに2巻を開きたくなるものです。

 しかし、です。

 機能的には特に難しいとも思えず、むしろ電子書籍ならば簡単に実装できそうなのに、です。

 あにはからんや、読了した時点で簡単な1動作(例えばボタンのタップ)によって次の巻を開くことのできる「続巻を読む」機能を提供しているストアアプリは、実はそれほど多くなかったりするのです。
 多くのストアアプリでは、開いていたマンガを「閉じる」という動作を選択し、いったん本棚に戻って自分で一覧から次の巻を探して開かなくてはなりません。閉じるボタンが左上に配置されている場合が多いことも手伝って、1回分の手間だけ見れば大したこと無いように感じるかも知れませんが、毎回となるとこれが意外と面倒なのです。

 まとめ読みをする時って「早く続きが読みたい~」っと気持ちが急いているので、1動作で続巻を開くことのできる機能は、あると非常に便利です。

 それを最初に実感させてくれたのは、集英社のジャンプBOOKストア!でした。

 さすが、出版社自身が出しているコミック専用アプリだけあって、ジャンプBOOKストア!はずっと前から「続きを読む」機能を提供しています。
 しかも、もし自分がまだ続巻を買っていない場合は、購入画面に誘導してくれるという親切さです。商売がお上手ですね。私もそれで、随分と買わされてしまいました。

 個人的な話で恐縮ですが、ジャンプコミックスに関しては、ほぼ100%の割合でジャンプBOOKストア!を利用するようになったのは、以前に書いたような価格面でのメリットだけでなく、この「続きを読む」機能が便利だったことが大きな要因の1つです。

続きを読む

最後のページを開くと一瞬の遅延の後にダイアログが表示され、「続きを読む」を選択すると続巻が開かれます。

 また、同じく集英社から出ているマーガレットBOOKストア!や、同じ会社が作っているのではないかと思われるほど(というか、いずれもACCESS社とアプリに明記されてますね)ジャンプアプリと構造がよく似ている週間少年マガジン公式アプリにも、同じ機能が搭載されています。

 それから、昨今の電子書籍のストアアプリでは、最終ページをさらに捲ると同一作者の著書リストやおすすめ本の紹介、レビューへの誘導等が配置された画面が表示されるのがトレンドですが、中でもBookLive!が最近になってこの画面で「続巻を読む」ボタンを提供するようになりました。

 いまのところ、1機能として実装しているアプリは、これくらいでしょうか。

 ニコニコ書籍やBookWalkerで最終ページの後に表示される画面でも、続巻を含めた一覧から続きを開くことができますが、これはレコメンドが機能を兼ねているだけであって、純粋な「続巻を読む」機能ではないので、ここでは除外します。

(追記:BookWalkerは、「続巻を読む、買う」という機能になったようです)

続きを開いたは良いけれど。。。

 さてさて、ことほど左様に大変便利な「続巻を読む」機能ですが、その動作については少しだけ言いたいことがあります。

 ここでは、ジャンプBOOKストア!の「続きを読む」機能を例に取りますが、どのアプリでも基本的に似たような動作をします。

  1. ネウロの2巻読み終わったよー。
  2. よーし、「続きを読む」で3巻読むぞー。
  3. !?

 ちょっと分かりにくいでしょうか。

 つまりですね、既に1回以上読了していて、しおり情報が最後のページに残っている場合、「続きを読む」で開いてもしおり情報が優先されて、一番最後のページが表示されてしまうのです。

 いや、うーん、まぁ、そりゃそうなるだろうなーとは思うんですけれどもね?
 前回どこまで読んだかを勝手に記憶してくれて、しかもそれを端末間で同期してくれるしおり機能は、そりゃあ便利です。私も、いつも助けられてます。

 でもね、プライオリティってあると思うんです。「続きを読む」機能で開いた時は、次の巻は表紙から表示して欲しいと皆さんも考えますよね。ね?

 もっと言えば、「一番最後のページを開いた状態で本を閉じた場合は、しおり情報はリセットして、次回開く時は表紙から表示」して欲しい訳です。

 あのですね、一番最後まで読んだ本を、すこし経ってから読み返そうと開いた時に、毎回まいかい一番最後のページが表示されて、いちいちいちいち表紙までスライダーを操作して戻らなくちゃいけないのが、ホントにとっても面倒くさいんですよ。
 黒字部分で書いた仕様にすれば、その手間が無くなって、さらに「続きを読む」で開いた場合も自動的に表紙が開かれることになるので、どちらにも対応できていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか(さらに、「続きを読む」で開いた場合、次巻はしおりを無視して表紙から開くことを強制しちゃてもいいと個人的には思います)。

 もしかしたら、しおりが最後のページに位置していることによって自分がその本を読了したかしていないか判断されている方がいらっしゃって、その方に不便になってしまうかも知れませんが、それは「読了」がより分かり易く表示されればいいんじゃないかな、と思います。

 最近触ってなくて、この記事を書く為に久し振りに弄って気付いたんですが、ebiReaderがほぼ完璧に上記の仕様を満たしてました(昔は動きが違ってた気がするんですが、勘違いかも知れません)。
 一番最後のページを開いた状態で本を閉じれば、次回は表紙から開いてくれますし(もちろん途中で閉じた場合は、次回はそこから開きます)、読了のマークもつけられます。その他の使い勝手や仕様は置いておいて、この機能に関しては申し分ないですね。

 それから、意外にもYahoo!ブックストアは、読了マークこそ見当たりませんが、最後のページで閉じると次回は自動的に表紙から開きます。

 さらに、これも意外なことに楽天のkoboアプリも、一番最後のページで「読了に設定する」を選択すると、次回は表紙から開くことができます。

 あとは、Galapagos等も最後のページで「最初に戻る」が選択できますが、表紙に戻った後は自分で閉じなければいけないので、これだとあんまり手間が省けませんよね。

「続きを読む」機能と、最後まで読んだら次回は表紙から開いてくれる機能、みんな実装してくれればいいんだけどなぁ。

追記:
 いつの間にやら少年マガジン公式アプリが、「続きを読む」で開いたら、最終ページにしおり情報がある場合でも、ちゃんと続巻を表紙から開くようになってました。もしかしたら、私が気づいてなかっただけで、昔からそうだったのかも知れませんが。

「続きを読む」がデフォルトで実装されていないのは何故だろう?

 それなりに便利で実装も簡単だと思われる「続きを読む」機能が、どのアプリにも実装された事実上の標準機能になっていないことには、何か理由があるでしょうか。

 Amazonや楽天のkoboがこの機能を有していないのは、なんとなく納得できます。
 何故なら、彼らは電子書籍の専門ストアではないからです(楽天ブックスではなくkoboストアの方は、またちょっと特殊かも)。

「○○○というコミックの5巻の前の巻は4巻であり、次の巻は6巻である」というリンク情報は、長編シリーズの多い日本のマンガというフォーマットでこそ重要な情報ですが、その他の多くの商品では然程重要でない場合も多いと思われます。
 ある程度はジャンルによって特化しているにしろ、あらゆる商品データを同じように取り扱えた方がシステム的に都合が良い筈のAmazonや楽天は、そもそも続巻情報を持っていないかも知れません(少なくとも、ユーザーが触れるAPIレベルでは、版元によってはそれっぽい情報が存在する場合もありますが、全てのデータに関して確実に設定されている訳ではなさそうでした)。

 もし、この仮説が当たっているならば、「続きを読む」機能のようなユーザーに対する細やかな配慮は、Amazonや楽天のような巨大な物量に対抗する、電子書籍の専門ストアの武器のひとつとなり得るのではないかと思ったりする訳なのですが。。。そんな大層な話ではありませんか。

 無理矢理、良い話にまとめようとしなくてもいいですか。まぁ、こんな細かいことでお客を引っ張ってくるのは無理ですしね。

 ともあれ私が言いたいことは、既にデータとして続巻のリンク情報を持っているストアさんは、さっさと「続きを読む」機能を提供して欲しいということです。
 何故なら、私が便利なのでー:P

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