解決編:Adobe の Creative Cloud アプリが更新されてから、CPU が異常に高負荷で Mac が使い物にならない問題について

 この記事は、前回の続きです。

 手短に説明すると、Mac 上で動作する Adobe の Creative Cloud デスクトップアプリケーションがバージョン 3.4.1.181 に自動アップデートされたタイミングで、CCLibrary と CCXProcess というプロセスの CPU 使用率が常時 100% になってしまい、異常回転を続けるファンが爆音を発して Mac そのものが使い物にならなくなってしまう現象が、一部のユーザー環境で発生していた問題に関する、自分なりの考察および回避策になります。

 詳しい前提や経緯については、前回の記事をご覧ください。

 さて、それでは早速ですが、結論から申し上げますと、どうやら Mac のキーチェーン周りの問題だったみたいですよ。

2015/12/12 追記(この問題は解決しました
 この記事で触れている問題に対応した Adobe の Creative Cloud デスクトップアプリケーションの新バージョンがリリースされました。

 メニューバーのから、右上の歯車アイコンメニューを開き、「環境設定...」で「アプリケーションのバージョン」が 3.4.2.187(以降)になっていれば、新バージョンがインストールされています。

Creative Cloud 3.4.2.187

 私は、検証の為に製品ページから落とし直して再インストールしましたが、放っておいても間もなく自動的にアップデートされると思います。

追記:と思いましたが、このホットフィックスは自動的にインストールされないようです。問題が発生していた人だけ、個別にインストールしてくれということでしょうかね。適用方法については、Adobe Japan から文書が出ていますので、そちらの手順に従ってください(後ほど正式なリリースになったようです)。

 問題が発生していた環境で、新パージョンが正常に動作することを確認しました。

 CPU やメモリに異常な高負荷がかかることもありません。

 また、ウチではキーチェーンが問題となっていましたが、フォーラムの書き込みを読むと、別の原因で高負荷がかかっていた環境でも正常に動くようになったようです。

 これで、おそらくほぼ全ての環境で、Creative Cloud デスクトップアプリケーションが正常に動作するようになったのではないでしょうか。

 思ったより早く解決しましたね。小耳に挟んだ話からすると、もうちょっと長引くかと思ってました。対応されたスタッフの方は、お疲れ様でした。

 やれやれ。

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追記:問題が解決した新バージョンがリリースされました

 冒頭に追記したように、問題が解決した新バージョン(3.4.2.187)がリリースされています。

 ですので、ここに書いてあるような対応を行う必要はありません。

 Creative Cloud デスクトップアプリケーションを入れ替えれば、この問題は解決します。

 ということで、ようやくこの記事もお役御免となりましたが、何かの役に立つこともあるかも知れないので、履歴としていちおう残しておきますね。

 以下、あくまでこのような問題がありました、という履歴としてご覧下さい。

前回までの解析

補足:本来は関係の無い現象が重なって、たまたま原因のように見えていただけで、私の勘違いという可能性も完全には捨て切れませんので、あくまで「ウチではこうだった」ということで、眉に唾をつけながらご覧ください。

 また、Photoshop 等を最新版にアップデートした後に、CEPHtmlEngine(Helper)というプロセスも高負荷になっている場合は、ここで言及している内容とは原因が異なる可能性があります。詳しくは、本文および追記をご覧ください。

(前略)CCXProcess と CCLibrary は、どちらも node.js を起動しています(というか、これ Electron みたいですね)。

(中略)どちらも node-ProxyResolver の getRootCA という function を呼ぶところで止まっており、さらにその先で libProxyResolverMac というネイティブライブラリの SystemRootCA を呼んだところで固まっていることが分かりました。

 前回、ここまでは辿り着いていたのですが、ネイティブライブラリとなると簡単には覗けないので、後は Adobe のスタッフに任せるつもりでした(当たり前)。

 が、あくる日になって、ハタと気付いたのです。

 そういや、Mac の Keychain Access って、なんか問題が多かったような。

 ハングするケースが散見されなかったっけ?

 で、別の仕事を終えて帰宅してから、恐る恐る確認したところ、うわぁ、ホントになんかヘンな動きしてる~......

 最初は、キーチェーンアクセスの「ログイン」の「証明書」を選択した時に、まるで CCLibrary や CCXProcess そっくりに、キーチェーンアクセスが見事にハングすることに気が付きました。

「証明書」を選択するとハングする

 うぅん、スクリプトを解析した段階で、気づいても良かったですね、これ。

 メニューから First Aid を選んだり、CodeEquivalenceDatabase を消したりと(後述します)、キーチェーンアクセスがきちんと動くようにと色々やってみたのですが、なんか知らんけども、いつしか起動しようとしただけでハングしてマッタク起ち上がらなくなってしまう始末。

 うへぇ、これ、どうすんの?

 と、一瞬途方に暮れかけましたが、最初は「ログイン」の「証明書」がおかしいらしかったこと、それからフォーラムに別アカウントでログインしたら大丈夫だったという書き込みがあったことを思い出し、以前から作ってあったローカルユーザーに切り替えて試してみたところ、キーチェーンアクセスは普通にホイホイ開けるし、CCLibrary も CCXProcess も、なんの問題も無く動作する訳です。

 嗚呼、少なくともウチの環境では、完全にこれが原因なのだな、と確信に至りました。

 後から追加で確認したところ、原因となっていそうなログインキーチェーンファイルをリネームしたら全てが正常に動作し、元の名前に戻したら問題が復活したので、ウチの環境ではこれが原因で間違い無さそうです。が、他に原因がある環境も、どうやら存在するようです。

キーチェーンアクセス、ちゃんと動いてすか?

 この辺りって、物凄く色々なシチュエーションがあるっぽいので、正直あんまり触れたくなかったのですが、今回の問題が発生している環境では、キーチェーンアクセス周りになんらかの問題を抱えていると予測します。

 一見、特に問題が無いように見えても、もしかしたらアカウントのパスワードとキーチェーンのパスワードが異なったりしている知れません(関係あるかは分かりませんが)。

 また、自分では特に何をしているつもりは無くとも、OS アップデートの時などに、なにかの拍子でキーチェーンが壊れてしまうケースもあるようです(なにかの拍子て)。

 個人的には、最初はローカルユーザーとして運用していて、後から iCloud アカウントと統合した場合などは、特に怪しいような気がします(自分がそうだったので)。

 キーチェーンアクセスに問題が見当たらず、ハング等の異常動作も特に見受けられない場合は、キーチェーン以外が原因である可能性が高いようです。

まずは、キーチェーンをなんとかしてみます?

 キーチェーンアクセスの動きがおかしいことを確認できた方は、今回、私がオススメする回避策を試す前に、まずはそちらを修復することを試みても良いかも知れません。

 それだけで直ったら、楽ちんですしね。

 但し、問題が解決する保証は全くありませんので、ここで紹介している作業は、くれぐれも自己責任でお願いします。

2015/12/03 追記:
 キーチェーンには全く問題が見当たらず、且つ Photoshop 等を最新版にアップデートした後に CEPHtmlEngine(Helper)というプロセスも高負荷になっている場合は、別に原因がある可能性が高いです。

 繰り返しになりますが、キーチェーンに問題が無い場合は、以下を試す必要はありません。

 まずは、この辺りから(Keychain First Aid)。

 この辺は、今回の件にはあんまり関係無いような気もしますが、念の為。

 これを試したら、ジツは一瞬直りかけたんですよ!(/var/db/CodeEquivalenceDatabase の移動または削除。あ、直りかけたのはキーチェーンアクセスがハングする現象の方で、CCLibrary 等の高負荷問題の方は解消してませんでした)

 でも、その後、調子に乗ってアレコレ試してたら、キーチェーンアクセスが起動すらしない状態に......(危険度が高いと思われるので、オススメしません)

 リセットして直らなかったら嫌だなぁ、と思って後回しにしていたら、試す前にキーチェーンアクセスが起動すらしなくなってしまったので、私は試せませんでしたが、いちおう。

リセットについての補足:
 どうやら、キーチェーンのリセットで直る環境もあるようです。

 以下でオススメしている方法よりお手軽ですので、試してみるのもいいかも知れません。

 ただし、リセットするので情報はあらかた失われてしまいます。予め覚悟した上でどうぞ。

(以下でオススメしている方法の方が安全に試せるので、まずはそちらで Adobe 製品の動作確認だけでもしてみると良いかも知れません。やけくそ気味にリセットするのは、なるべく避けましょう。基本的に取り返しがつかないので)

 ウチでも試せて、さらには直っていたとしたら、多分これはキーチェーンのリセットをオススメする記事になってたかもなぁ(笑)

 というか、キーチェーンアクセスが動かなくても、security コマンドを使えば削除できたんですね、コレ......遅まきながら思い付けたことが奇跡的なくらい、普段は存在すら忘れていたので、作業していた時は全然気付けませんでした......

 でも、前の環境も動作確認の為に取っておきたいので、もう削除しませんけど。

もうひとつ追記:
 ディスクユーティリティの First Aid で、何かが修復されたりするかしらと思って試してみましたが、ウチの環境では関係ありませんでした。

 いちおう、ご報告まで。

今回オススメする方法

 でもね、あれこれ弄った感覚として、大抵の場合、どうせキーチェーンは直んないッスよ(投げやり)。

 というか、直るかも分かりませんが、あれこれ試すと湯水のように時間を使ってしまうので、すぐに Mac で Adobe 製品を使いたい場合は、新しいユーザーを作ってまっさらにした方が、多くの場合で手っ取り早いと思います。

 システム環境設定の「ユーザーとグループ」で、簡単に作れますから。

 現実的な対応策ってヤツですね(?)

 キーチェーンが原因ではない場合は、新しいユーザーを作っても問題は解決しない可能性があります。

 また、ユーザーの切り替えではなくキーチェーンのリセットという方法もありますが、リセットしてしまうと取り返しが付かないので、まずは新しく作ったユーザーでログインしてみて、Adobe 製品がまともに動く環境を作れるかどうかの確認だけでも、先にしてみると良いかも知れません(もし新しいユーザーが不要になったら削除してください)。

 そのまま新しいユーザーで綺麗に環境を作り直すと、以前のキーチェーンを念の為に取っておけるということになりますので、その点も悪くは無いような気がします。

システム環境設定の「ユーザーとグループ」を選択します
カギを外した後、「+」ボタンをクリックしてユーザーを追加
ウチの場合は、「iCloud パスワードを使用」しても大丈夫でした

 ウチの場合は、「iCloud パスワードを使用」を選択して、問題が起きていたのと同じ iCloud アカウントを指定しても大丈夫でした。

 また、iCloud キーチェーンも有効にして問題無かったので、iCloud 周りの情報は、まんまと引き継げそうです。

 それでは心配な方や、問題が再発してしまう場合は、「別のパスワードを使用」して、ローカルアカウントとして運用してみるのも良いかも知れません。

ほら! 両方とも、めっちゃ大人しいです!
ライブラリも、ちゃんと見られます

 前回の記事で触れたように、ディレクトリやファイルをリネームして一時的に問題を回避していた場合は、忘れずに元に戻してください。

 その際、引き継ぎ作業などで元のアカウントにサインインしてしまうと、また高負荷のプロセスが起ち上がってしまいますが、新しいアカウントにサインインする前に必ず再起動して、プロセスが異常動作していない状態を保つように心掛けましょう(切り分けできなくなってしまうので)。

アプリをアップデートしても大丈夫でした

2015/12/03 追記

 Creative Cloud デスクトップアプリケーションではなく、Photoshop や Illustrator のようなアプリケーションに 10 個ほどアップデートが来ましたが(Photoshop を例にとると、多分このリリース。「Creative Cloud Libraries 統合の向上」の画像を見ると、分かり易いです)、それらを全て適用した後も、問題が解消した新しい方の環境では、いまのところ全てが正常に動作しています。

 どうやら、大丈夫なようです。やれやれ。

 このアップデートで新たに問題となっている CEPHtmlEngine(Helper)プロセスも、CPU 使用率が 100% になったりはしていません。

 でも、常識的な範疇で動作しているとはいえ、このプロセス、微妙に重いですよね(数%ですけど)。

 余計なもの、つけなくていいのに(笑)

 Adobe は、ユーザーのリソースを好き放題に使い過ぎじゃないですかね。

もし解決しなかったら

 この問題は原因が複雑に絡み合っているようですので、もしかしたら、新しいユーザーを作っても、残念ながら解決には至らない環境もあるかも知れません(その場合は、前回の内容が役立つかも知れません)。

 OS を再インストールしてもダメだった、なんて話も聞くのですが、何故なんでしょうね。

 まずは試しに iCloud と切り離したローカルユーザーを作って、Adobe 製品が問題無く動くかどうかを、先に軽くテストしてみるのも良いかも知れません。

 キーチェーンアクセスの「システム」や「システムルート」の証明書の更新が必要であるのかも分かりません(いや、これは当てずっぽうですが)。

 ともあれ、問題が発生している全ての環境で、必ず解決すると保証できる訳ではありませんので、その辺りを踏まえた上で、作業は自己責任で行っていただきますよう、くれぐれもお願い申し上げます。

 とはいえ、今回あれこれと試した結果では、少なくともウチの環境ではキーチェーン周りの何らかの問題に起因した現象としか思えませんので、私の解析はここまでにしようと思います。

 キーチェーンアクセスには全く問題が無く、明らかに別に原因があるとしか思えない環境もあるようですが、そちらは再現可能な方の解析にお任せします。

 というか、もう少ししたら Adobe が対応して、自動的に直るのではないかと。

2015/12/03 追記:
 ところで、CCXProcess や CCLibrary が高負荷になってしまう環境では、Photoshop 等を最新版にアップデートした後に「CEPHtmlEngine」および「CEPHtmlEngine Helper」も高負荷になってしまうことが多いようですが、ウチでは「CCXProcess」と「CCLibrary」が高負荷になってしまう環境でも、CEPHtmlEngine(Helper)は大人しいままでした。

 ということは、やっぱり高負荷の原因は複数あって、キーチェーンが問題の場合と、それ以外が原因の環境があるのでしょう。

 ただ、キーチェーン以外が原因の場合は、ウチでは再現しない為、現状では調べようがありません。すみませんが、ご了承ください。

2015/12/06 追記
 Adobe Japan からの暫定的な回答が文書になったようです。鋭意対応中とのこと。

 暫定的な対応として、Creative Cloud デスクトップアプリケーションの一時的なアンインストールが提案されています。

 追加情報として、

(アンインストールする以外の対処として)Creative Cloudデスクトップアプリケーションからではなく、ご利用の各製品を起動後、ヘルプメニューからアップデートを行っていただくことで問題を回避することが可能です。

 とあるのですが、アンインストールしていない状態だと、Photoshop とかを起動したら CCLibrary 等が自動的に起ち上がってしまうような......

 ともあれ、問題が解決しない方は目を通してみると良いのではないでしょうか。

 どうしても状況が改善しない場合は、一時的に CC デスクトップアプリケーションをアンインストールして、Photoshop など個別アプリケーションの更新は、しばらくヘルプメニューのアップデートから行う運用もアリかも知れません(もちろん、ライブラリ等のクラウド機能は使えませんし、アプリケーションのアップデートも自分で気をつける必要はありますが......)

2015/12/12 追記
 冒頭にも追記しましたが、念の為にここでも繰り返しておきます。

 Adobe の Creative Cloud デスクトップアプリケーションの新バージョンがリリースされて、この問題は解決しました。

 詳しくは、冒頭の追記をご覧ください。

おわりに

 いや、マジ、こんなことやってる時間、ホントは無いんスよ......

 まぁ、でも、とりあえず自分なりの区切りがついて良かったです。

 もちろん、「新しいユーザー作れって、なんだそりゃ?」という向きもおありでしょう。

 期待して開いたのに、がっかりされた方も多いかも知れません。

 わざわざ環境を構築し直すなんて、面倒くさいですよね。いや、ホント分かります。

 ウチなんかと違って、キーチェーンアクセスがあっさり直るようなら、そちらの方が良いでしょう。

 でも、なんか一旦ケチのついてしまった環境を捨てて、新しいマシンを買ったつもりでイチから綺麗に環境を作り直してみるのも良いんじゃないかなーと、個人的には思わないでもありません。

 新しい環境とはいえ、当然ながらアプリケーションは既にインストールされている状態ですし、クラウドメインで使っている場合は、それほど手間でもないような気もするんだけどな。

 問題は、その為のまとまった時間が、しばらく取れそうも無いことですが......まぁ、そこらヘンは、騙しだましで(笑)

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